メニュー

小売業の2022年回顧録 上半期(1~6月)

2022年も残すところわずかとなった。あらためて今年1年間を思い返してみると、とおい昔のようであった数々の出来事が、実は2022年であったことに気づかされる。日本漢字能力検定協会が毎年発表する今年の漢字が「戦」と発表されたなかで、小売業の2022年もインフレや他業種参入、競合とのシェア争いなど、まさに「戦」の1年であった。そこで、2022年にDCSオンラインに掲載したニュースから、小売業の2022年を振り返り、多くの戦いの軌跡を振り返りたいと思う。

清水寺の森清範貫主が揮毫(きごう)した2022年「今年の漢字」の「戦」=12日、京都市東山区 時事通信社

1月の出来事

1月6日に関東で大雪を観測、東京都心でも10センチの積雪となった。新型コロナウイルスの感染拡大も顕著になり、9日には沖縄、山口、広島の3県にまん延防止等重点措置が適用される。16日にはトンガ諸島付近で発生した海底火山の噴火に伴う津波警報・注意報が発令される。自然災害や感染症の脅威にさらされる、波乱の新年となった。

1月の小売業の主な出来事

小売業においては、統合・再編や新業態のオープンなどのニュースが。食品スーパー×ドラッグストアの協業は2022年のトレンドともいえそうだ。近未来感のあるイオンモールの自立走行ロボットでの商品配送に、多くの注目が集まっていた。

カスミ、ウエルシア薬局と一体型の新店舗、カフェスペースも併設

イオンモール、自律走行ロボットで商品配送、愛知のSCで実証実験

ヨーカ堂、食品ロス削減の実証実験、ダイナミックプライシングなど活用

マクドナルド、「ポテト」M・Lサイズを再び販売休止、1カ月程度

ビックカメラ、SHOWROOMと資本業務提携、ライブコマースに進出

イオン、キャンドゥへのTOB終了、約51%の株式を取得

ミニストップ、韓国子会社をロッテに売却、フィリピンからも撤退

食品スーパーの万代、ドラッグストアのシグマ薬品を子会社化

「Yahoo!マート」の本格展開を開始、食品・日用品を最短15分で配達

2月の出来事

4日に北京冬季五輪が開幕。連日熱戦が繰り広げられ、日本勢は最多のメダル18個を獲得した。24日にはロシアがウクライナに侵攻、それに伴う経済制裁やロシア事業撤退、物流の混乱など、多くの企業が対応に追われた。

2月の小売業の主な出来事

カスミの新業態「BLANDE」2号店が早くもオープン。業界関係者の多くが注目していた。セブン&アイのオシュマンズ売却はグループの事業再編として、こちらも多くの注目を集めた。

ローソン、「出前館」の取り扱い開始、配送サービスは約2900店舗に

マルエツ、食品・日用品約260品目を値下げ、商品は1カ月ごとに入れ替え

セブン&アイHD、ABCマートにスポーツ用品のオシュマンズを売却

2月17日、カスミの新業態「BLANDE(ブランデ)」2号店、つくば市にオープン

ベニマル、本部と店舗の情報共有クラウドサービス導入、全店で利用

ワークマン、PBの「価格据え置き」、売上全体の6割

坂本孝氏が死去、ブックオフ、俺のイタリアン創業者

3月の出来事

北京冬季パラリンピック大会が開幕。日本勢はメダル7個を獲得する大健闘。16日には福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の地震が発生、宮城、福島両県に津波注意報が発令され、宮城では最大30センチの津波を観測。付近を走行中の東北新幹線が脱線する事故も発生した。21日には地震の影響により火力発電所が停止、東京電力管内で初めて「需給逼迫(ひっぱく)警報」が発令され、節電が推奨された。

3月の小売業の主な出来事

薬王堂のネクストミーツとの提携やマックスバリュの無人店舗など、未来へ向けた投資に関するニュースが注目された。サツドラの「リテールメディア」に対する取り組みにも脚光。

DCM 店舗ロゴマークを変更し、店名も「DCM」に統一

ノジマ、スルガ銀行との提携解消、持ち株を売却

マックスバリュ東海、無人店舗「Maxマート」、静岡朝日テレビ本社内に出店

成城石井、アマゾンのECサイトに出店、「ネットスーパー」開始

フジとMV西日本、持ち株会社体制への移行完了、フジリテイリング発足

サツドラ、店内電子看板での広告配信をスタート、他社の広告配信も支援

サンドラッグ、処方箋をLINEミニアプリで送信、待たずに受け取り可能に

西友、PBの価格据え置き、「みなさまのお墨付き」全品を6月末まで

薬王堂、代替肉のネクストミーツと資本業務提携

ファミリーマートが本格的に店舗を活用した、広告・メディア事業に乗り出した。

4月の出来事

4日、東京証券取引所が株式市場を再編、4区分から「プライム」「スタンダード」「グロース」の3区分に再編し取引を開始。19日には政府がウクライナに侵攻するロシアに対し追加制裁として木材やウォッカなど38品目の輸入禁止に踏み切る。翌日には魚介類などに適用される優遇税率を撤回する暫定措置法が参議院本会議で可決、成立。23日、北海道知床半島沖で観光船「KAZU1(カズワン)」が沈没。乗客乗員26名全員が死亡・行方不明となった。

4月の小売業の主な出来事

事業の再編に関連するニュースが目立つ4月となった。そのなかでも、伊勢丹のクイーンズ伊勢丹再子会社化は驚きをもって伝えられた。ドンキの新業態「キラキラドンキ」にも多くの注目が集まった。

ニトリHD、DX加速へ新会社「ニトリデジタルベース」、東京目黒にオフィス開設

セブン&アイ、そごう西武を「戦略的再評価」、売却を含め検討

100円ショップ、銀座に旗艦店=15日オープン―ダイソー

無印、広島に世界最大店=22日オープン

ファミマ、電動スケーターLuupと提携=600店以上で貸し出し

ドンキホーテ、Z世代向けの新業態「キラキラドンキ」、東京お台場に出店

ニトリHD、家電量販のエディオンと資本業務提携、株式10%を取得

三越伊勢丹HD、「クイーンズ伊勢丹」を再子会社化、投資ファンドから株式取得

ジョイフル本田、新ストアブランド「ジョイホン」の1号店

イオンモール、北九州でアウトレット複合施設開業=地域拠点化へ市と連携

5月の出来事

15日、沖縄の日本本土復帰から50年を迎え、東京と沖縄の2会場で記念式典が行われた。20日には総務省が全国消費者物価指数を発表、前年同月比2.1%上昇。伸び率が2%を超えたのは7年1か月ぶりとなり、あらためて物価上昇が鮮明化した。22日にはアメリカのバイデン大統領が来日、翌日に東京都内で日米首脳会談を行った。

5月の小売業の主な出来事

小田急百貨店の新宿店本館の閉館が発表され、多くのメディアが伝えた。隣接するハルクで小田急百貨店の営業継続している旨を伝える広告も話題に。ローソンでの無印良品の取り扱いも本格化。神戸物産やカインズなど、将来に向けた投資が活発に。

バローHD、PB外販やネットスーパーなどの事業を子会社に統合

ローソン、「無印良品」を全国の店舗で販売、PBの共同開発も

スシロー、1皿120円に値上げ=食材価格高騰、10月1日から

小田急百貨店、新宿店本館を10月2日閉館 新宿西口ハルクで営業継続

神戸物産がベンチャー投資ファンドを組成 米投資会社と共同で

カインズ 「うんこミュージアム」などのカヤックと資本業務提携

ファミマ、都内2400店で処方薬=受け取り可能店舗を大幅拡大

楽天、西友の商品を自動走行ロボットで宅配 つくば市で

ファミマ、日配商品や冷凍食品のPBを20円引き 8月26日までの毎週金曜日

原信が長野安曇野市に出店、中信地域で初 ケーズデンキやニトリなども

6月の出来事

厚生労働省が21年の人口動態統計を公表、出生率が前年より3.5%減り、過去最少の81万1604人だった。10日には海外からの観光客受けれが団体ツアーのみ解禁。25日群馬県伊勢崎市で最高気温40.2度を観測、6月としては初の40度超え。27日には気象庁が関東甲信地方で梅雨明けしたと発表、観測史上もっとも早い梅雨明けとなった。

6月の小売業の主な出来事

ファミマが3000店に電子看板の設置完了を発表。小売業の店頭をメディア化する「リテールメディア」戦略が脚光を浴びる。ニトリもデジタルへの取り組みが活発に。4月のデジタルベース開設に続き、人材への投資も活発。

イオン東北、水素燃料電池車で移動販売 トヨタが開発

マックスバリュ東海、セルフスキャンシステム「マックスゴー」導入開始

ニトリ、デジタル人材獲得へ新会社=32年度、1000人体制に

いなげや、「楽天全国スーパー」でネットスーパー展開 ベイシアに次いで2社目

ファミマ、3000店に電子看板設置を完了 広告配信商品の売上2割増

ミニストップ、ソフトクリームに「食べるスプーン」 プラスチック削減

リオンドール、新潟の同業から食品スーパー8店舗を取得、移動販売事業なども

 

以上、上半期のニュースをお送りしました。下半期は12月30日に公開予定です。