3分の1ルールとは?フードロス増加の原因?今見直されつつある3分の1ルールについて徹底解説!

読み方:3ぶんの1
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3分の1ルールとは

 3分の1ルールとは、「食品の納入期限を賞味期限の3分の1以内」とする流通・小売業界特有の商慣行である。食品のサプライチェーンにおいて、賞味期限の問題は避けて通れない。例えば賞味期限を3か月とする食品の場合、メーカーや卸は製造後1か月以内に食品を小売店まで納品しなければいけない、というのが3分の1ルールだ。

3分の1ルールとは
3分の1ルールとは、「食品の納入期限を賞味期限の3分の1以内」とする流通・小売業界特有の商慣行である。 zoranm/i-stock

 3分の1ルールの商慣行は、バブルが崩壊し消費が低迷しだした1990年代に始まった。3分の1という期間は、顧客・流通チャネル・メーカーの3者が賞味期限を等分するという考えに基づいている。同様の商慣行は欧米にも存在するが、ヨーロッパは2/3、アメリカは1/2と日本よりも長い。

 ちなみに賞味期限とは「おいしく食べられる」までの期限で、食品表示法や同基準によって加工食品への表示が義務づけられている。期限はメーカーによって政府が定めたガイドラインに基づいて設定される。

大手企業の食品ロス削減に向けた取り組みは

3分の1ルールのメリット

 3分の1ルールのメリットは、小売チャネルにおける食品在庫の鮮度確保や賞味期限切れの防止にある。たとえば牛乳を買おうとした時、普通は手前の商品を選びそうなものだが、お客はわざわざ手を伸ばして奥の商品を購入しようとすることがよくある。スーパーやドラッグストアなどの売場でしばしば見かける光景だ。日本の消費者は鮮度にこだわり、なるべくなら賞味期限の長いものを選ぼうとするのだ。

 消費者が極端な鮮度を要求するなら、小売店も対応せざるを得ない。陳列棚に賞味期限の長い商品を並べて売りきるためには、ある意味で3分の1ルールはやむを得ない商慣行ともいえる。

 なお、鮮度維持や賞味期限切れの防止はメーカー側にも一定のメリットがある。賞味期限が近づいてきたら、小売店では商品の値引き販売に走るケースが多い。値引き販売はブランド価値の毀損につながるため、メーカーとしてもできれば避けたいところだ。十分な賞味期限が残った商品を販売することで、値引き販売の横行を防ぐこともできる。

メリットのイメージ
3分の1ルールのメリットは、小売チャネルにおける食品在庫の鮮度確保や賞味期限切れの防止にある。

3分の1ルールのデメリット

 3分の1ルールのデメリットは、食品ロスを引き起こす点にある。品切れを絶対悪とする営業スタンスと同時に、3分の1ルールも食品ロスを助長するとされている。食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のことで、日本では年間600万トンもの食品ロスが発生している。アジアやアフリカなど飢餓に苦しむ国々への食糧援助量である年間420万トンを大きく上回る。

 そして家庭で発生する分を除いた食品ロスのうち、4割以上が卸売業・製造業で発生した分だ。せっかく作ったにも関わらず小売店に仕入れてもらえず、最終的に食品ロスとなったものだ。賞味期限の3分の1を過ぎた食品は、販促リベートなどを積んで事実上割引したうえで小売に引き取られるケースも少なからずある。さらにはメーカーの社員食堂に並ぶケースもあるが、とても全部はさばききれず大部分は食品リサイクルセンターに持ち込まれる。

 ちなみに食品ロスの焼却処分は法律で禁止されており、不純物との選別を行ったうえで豚の飼料などに再利用されるわけだが、だからといって食品ロスの増加が許されるわけではない。

3分の1ルールの実例

 3分の1ルールの実例として、農林水産省・食料産業局主導のもと流通業界や食品メーカー等が進める見直しの取り組みについて紹介する。

 農林水産省では食品ロス削減をめざして、食品メーカー・卸売業・流通業界が連携する場として「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」を立ち上げ、活動を進めている。ワーキングチームは業界各社に参加を呼びかけ、これまで活動に取り組んできたが、「全国一斉商慣習見直しの日」と位置付ける2021年10月30日には取り組み状況を公表した。

 リリースによると、現時点で3分の1ルールの緩和を予定している小売業者は142業者に達し、相当の成果が出ている状況だ。なお同ワーキングチームでは、賞味期限表示の大括り化といったテーマにも取り組んでいる。

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