フルセルフレジなぜ復権? レジ業務の合理性を突き詰めれば辿り着くセルフサービス化
突き詰めればセルフサービス
フルセルフレジの復権をもたらした要因は何か、と言われれば、 非接触ニーズはきっかけに過ぎず根本的にはレジの精算・会計処理を誰も望んでいないことがあると思います。店舗にはコストがかかりますし、顧客にとっては義務でしかありません。レジを通過しないと店は代金をもらえず、顧客は商品を持ち帰れないので、やむなくやっていることです。レジ業務の効率化を突き詰めればゴールはセルフサービスになるでしょう。あとは顧客にかかる手間や負担をいかに減らし、利用を促すかです。
非接触を求めるニーズは、セルフスキャンを手間と感じる顧客心理を和らげました。いつでもフル稼働しているレジというのも、稼働していないレジを横目に有人レジに並ぶよりはストレスを減らすかもしれません。商品を選んでいる最中にスキャンも済ませてしまえる「レジゴー」は、精算機で行う決済処理を著しく短縮します。さらに決済までスマホで完結する「スキャン&ゴー」なら、レジ精算に費やす時間を実質的に無くしてしまえます。買物途中に商品スキャンをする人はまだ少数派ですが、決済処理の時間を短縮できる明らかな合理性があります。紆余曲折はあっても、店も顧客もより合理的な方へ流れていくのではないでしょうか。
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは「スキャン&ゴー」の利用率として、当面は1割を目標にしています。藤田元宏社長は「有人レジは全てセルフに置き換えたい」とも語っており、レジ業務を完全にセルフサービス化する未来を描いています。それがいつ実現するかは分かりませんが、技術的にはすでに可能です。そこにどう近づいていくか、顧客心理をいかに変えていくかの試行錯誤になりそうです。