「デジタル化と小売業の未来」#4 これからは目的来店性のある店舗づくりが必須!
目的来店性の高い店舗は顧客の滞在時間が長い
近年体験型ストアが重要視されているのも、こういった文脈が背景にあります。体験価値が高い店舗は「目的地化」されやすく、それ以外のモノはAmazonなどのECで購入すればよいと消費者は考えているのです。
新鮮な顧客体験だけでなく、たとえば新しい商品が常に入れ替わることも1つの価値になります。今でも百貨店が一定の支持を得ているのは、デパ地下のさまざまな食材やギフトショップに来店価値があるためです。母の日のプレゼントやお中元・お歳暮など、ギフトを送るときに適した場所はほかにあまりなく、百貨店が生き残っている要因の1つとなっています。
目的地化された店舗にはほかにも利点があります。たとえば、目的をもって来店した人は偶然来店した人よりも滞在時間が長い傾向にあります。滞在時間が長いと、購入する確率や購入単価が上がると言われているため、売上アップにつながります。
また、複数人で来店したほうが、1人よりも滞在時間が長くなるという統計もあります。そのため、2人以上で来店してもらう目的を与えることも重要な戦略になります。
消費者はモノ自体だけではなく、それに付随する価値にもお金を払っています。消費者が来店する目的となる「価値」をつくりだすことが、これからのリアル店舗には求められているのです。
プロフィール
望月智之(もちづき・ともゆき)
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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