「デジタル化と小売業の未来」#4 これからは目的来店性のある店舗づくりが必須!

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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ディスティネーションストアをめざす

 世界的スポーツブランドの「NIKE(ナイキ)」も、来店動機の創出に力を入れています。自分好みのスニーカーをオーダーできたり、アプリを通して蓄積されたトレーニングデータを使って店員と話しながら購入する商品を決めることができたりするなど、「もっと自分にあった商品に出会う」という消費者の目的を叶える取り組みにチャレンジしています。消費者にわざわざ店舗に行く気にさせる仕組みをつくるためにNIKEは莫大な時間とコストを投資し、目的来店性のある店舗(ディスティネーションストア)をめざしているのです。

NIKEはさまざまな手段でリアル店舗への目的来店性を高めている
NIKEはさまざまな手段でリアル店舗への目的来店性を高めている

 こうした目的来店性のある店舗は珍しくなくなっており、大手カフェチェーンの「スターバックス」も該当します。近場で済ませるのではなく、わざわざ行きたい店としてスターバックスを挙げる方は多いでしょう。多少高くても、大きなソファでゆったりくつろげるほか、PCやスマホを充電することができるなど、消費者が店舗に行く目的を創出することを重要視しています。

 飲食店では、「マクドナルド」や「吉野家」もよくできていると思います。マクドナルドに行く人は、単にハンバーガーだけを目的にしているとは限りません。家族で来店し、おもちゃをもらえるメニューを子供のために注文したり、それによって子供が笑顔になったりすることに価値を見出している人もいます。また、ハンバーガーを食べてストレス発散をしたい人もいるでしょう。

 では、吉野家のランチはどうでしょうか?急いでいるから30分以内でお腹をいっぱいにしたいと考える人は少なくないでしょう。来店するタイミングによっては、時間がかからないことが価値になります。

マクドナルドには顧客が来店する価値が多くある
マクドナルドや吉野家には顧客が来店する価値が多くある

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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