夢展望株式会社 代表取締役社長 岡 隆宏
「価格競争から脱しようとSPAを志向した」

2014/06/30 14:00
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衣料品、雑貨などのインターネット販売を手がける夢展望(大阪府/岡隆宏社長)。自社で商品開発するSPA(製造小売)型企業で近年、業績を伸ばし注目を集めている。昨年7月、東証マザーズ上場を機に、展開ブランドを積極的に拡充、新たな年齢層、テイストをカバーすることでさらなる成長をめざす。座右の銘は「七転び八起き」という岡隆宏社長に戦略を聞いた。

聞き手=千田直哉(チェーンストアエイジ) 構成=森本守人(サテライトスコープ)


スマホ経由の売上が8割

──夢展望のビジネスモデルはどのようなものですか。

 

夢展望株式会社 代表取締役社長 岡 隆宏夢展望株式会社 代表取締役社長
岡 隆宏 おか・たかひろ
1961年大阪府生まれ、85年関西学院大学商学部卒業、98年ドリームビジョン設立(08年夢展望に社名変更)、代表取締役社長(現任)

 衣料品や雑貨をインターネットを通じ販売しています。メインターゲットは、20歳代前後の若い女性です。

 

 ファッション分野において、ネット通販市場は急速に成長しています。あるシンクタンクによれば、2010年は4652億円規模でしたが、15年には9500億円と倍増するとの予測です。これに対し、当社ではとくにスマートフォン(スマホ)を経由する通信販売に力を入れています。

 

 現在、当社の販売チャネル別の売上高構成比はスマホ80%、スマホ以外の携帯電話(ガラケー)11%、パソコン(PC)9%。同様の事業を展開する企業では、スマホによる比率は通常、35~45%といったところです。

 

──ネット通販では、具体的にはどのように商品を売っているのですか。

 

 自社で運営するWEBサイトのほか、楽天などインターネットショッピングモール内にバーチャル店舗を構えており、利用者は会員登録すれば、誰でも買い物ができる仕組みです。5月現在、会員は計150万人で、うち自社サイトによるものは約100万人。購入者の平均年齢は26.4歳、利用頻度が最も高いのは22歳です。商品の平均単価は約2000円、利用者1人あたりの客単価は約5000円です。

 

──サイトには、若い女性が好みそうな、かわいらしいブランドがいくつも並んでいますね。

 

 「ディアブルベーゼ」「ディアマイラブ」「ニューリーミー」といった年齢層やテイストが異なる主要3ブランドに加え、最近新たに増やしたものを含め、現在は10前後のブランドを展開しています。

 

──どの商品も安いですね。なぜその値段で販売できるのですか。

 

 商品を自社で開発するSPA型の企業だからです。商品の企画、材料の調達、生産、販売までのすべてを手がけることで流通段階で発生する中間マージンを削減、競争力ある価格を実現しています。

 

──ユニークなビジネスモデルにより業績を拡大。昨年7月には東証マザーズ上場を果たしました。13年9月期(連結)の売上高は67億6400万円(対前期比9.1%増)、営業利益1億6700万円(同3.6%増)、経常利益1億600万円(同4.2%増)。売上規模は、わずか5年間で2倍以上になった計算です。

 

 ただ最新の14年9月期第2四半期は赤字決算で、営業利益は1億3000万円、経常利益も1億5300万円といずれもマイナスでした。円安により衣料品を中心に輸入原価が上昇、これを価格に転嫁できなかったことが主な原因です。しかし業績回復のための次なる手はすでに打ってあり、今後は着実に利益を出せると見込んでいます。

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