小売業SDGsへの取り組みが本格化
小売業、メーカー、消費者をつないで社会課題の解決に参加できるプラットフォーム「BE+CAUS」
最近、よく耳にするようになった「SDGs(エスディージーズ)」。企業活動に取り込む動きが広がり始めていることから、小売業においても無視できない状況になってきている。こうした中、単なる社会貢献活動ではなく、成長戦略の機会ととらえ、新たな企業価値の創造が期待されている。その流れを受けて、日常の買物によって小売業やメーカー、NPOが連携してSDGsに取り組むことができるソーシャルアクションプラットフォーム「BE+CAUS」が注目を集めている。
注目が集まる小売業でのSDGsの取り組み
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略であり、日本語では「持続可能な開発目標」と訳される。2015年の国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられたSDGs。17の目標と169項目のターゲット(具体的な目標「Goals」)から成り、2030年を期限に、先進国と途上国の企業と市民が連携して共同で取り組むことが求められている。
SDGsでは、基本理念である「誰一人取り残さない(Leave No One Behind)」が重要なポイントとなる。先進国と途上国、難民や無国籍の人々まで含めた「地球上の誰一人取り残さないこと」が念頭に置かれている。それは、国際機関やビジネス・民間セクター、市民社会、個人までも含まれる。このうちSDGs推進の担い手として期待が集まっているのが、企業の取り組みである。
昨年から続くコロナ禍によるリスクに備え、企業の事業継続性を担保するため、そして、環境問題と社会貢献への感度が高いといわれる「ミレニアル世代」「Z世代」が今後、消費の主役になることから、小売業にとってもそうした消費者の価値観の変化への対応も課題となってくる。すでに欧米の小売企業においてもSDGsを経営計画や戦略に反映する取り組みに大きく舵をきったことから、日本の小売業においても「SDGsに目を向ける」という選択が主流になってくるだろう。
SDGsを推進している食品関連企業の事例とは
エネルギーや食料資源の需給だけでなく、地球温暖化など世界規模での環境悪化が懸念されている。人口やエネルギー、食糧資源と大きく関わる食品業界において、すでにSDGsに取り組んでいる事業者の事例を紹介しよう。
生活協同組合コープみらいは、組合員から寄せられた東日本大震災復興支援募金により、災害公営住宅などへの移動店舗の運行や、避難生活者の交流の場を定期開催。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた休校で行き場を失った給食食材の販売など、産地支援に取り組んだ。
サントリーホールディングスは、水を事業活動に利用する企業として、重要な原料「水」を守ることが最重要課題であると位置づけ、水源保全などを行なっている。また、容器包装のプラスチック使用量削減、100%植物由来ペットボトル実現に向けた取り組みなどを推進している。
日本アクセスは、代替肉によって、健康志向などの消費者ニーズへの対応と、今後の人口増加に伴い懸念される食肉不足などの環境・社会課題解決の両方につながる食の安定供給対策を実施。加えて、同社の全国の物流網を活かし、災害時でも滞ることのない、食の安定供給に貢献する体制を整えている。
この他にも、SDGsに積極的に参画する企業が増えている。ここで紹介した企業の取り組みの詳細やその他の企業事例は、農林水産省のHPで紹介されている。
クリックで農林水産省のHPへ ※画像引用元:農林水産省