豚骨ラーメン店「ラー麺ずんどう屋」が国内外で描く成長シナリオ

取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
構成:崔 順踊(リテールライター)

兵庫県姫路で誕生した濃厚豚骨ラーメン店「ラー麺ずんどう屋」。201712月にトリドールホールディングス(東京都/粟田貴也社長兼CEO:以下、トリドールHD)の傘下に入って以降さらに業容を拡大し、国内外で着実に存在感を高めている。近年では、海外店舗の新商品が国内でヒットするなど新たな成長の芽も見えてきた。運営するZUND(大阪府/馬場紳介社長兼CEO)の濵村直樹COOに、経営戦略から商品開発、人材戦略、そしてこれからの展望を聞いた。

ラーメン好きもファミリー層も、あらゆる顧客層が楽しめる空間づくり

 「ラー麺ずんどう屋」は2002年に姫路で誕生した。259月時点で国内106店舗に加え、中国・上海で5店舗を展開。原材料高騰や人材不足といった外食業界の逆風下にあっても、業績は堅調に推移している。

 その背景には、「姫路ブランドとしてのこだわりを守りつつ、世界へ挑む」という明確なビジョンと、それを実行するための戦略がある。ラーメン業界では大手チェーンの多くがフランチャイズ方式を採用する一方、同社が直営展開にこだわるのも、ブランドを守るための方針だ。

ZUNDの濵村直樹COO

 ラー麺ずんどう屋の戦略について濵村氏は、「ラーメン好きの方々にも満足いただける本格的な味わい」と「ファミリー層も利用しやすい店づくり」の両立を重視していると話す。店内は古材を使ったおしゃれな内装に加え、祭りをイメージした提灯を飾るなど、ライブ感を演出。テーブル席や子供向けメニューも備え、幅広い客層が快適に過ごせる空間をめざしている。

店内の様子

 新規出店も順調に進めており、足元の業績は「絶好調だ」と濵村氏は力を込める。その背景には、消費者心理を的確に捉えた価格戦略がある。昨今の物価高騰で多くのラーメン店が値上げを余儀なくされるなか、ラー麺ずんどう屋は「1000円の壁」を強く意識。売上の3割弱を占める看板商品「味玉らーめん」の価格を980円(以下、税込)に据え置き、顧客離れを防ぐ一方で、チャーハンや店内仕込みの唐揚げといったサイドメニューや「ずんどう屋流鶏白湯」(1050円)をはじめとする季節商品を充実させ、客単価の向上につなげている。

看板商品の「味玉らーめん」

 出店戦略では、トリドールグループの店舗開発力を生かし、中日本エリア(愛知・静岡など)と関東エリア(13県)を重点地域と定め、展開を加速させている。基本的にはロードサイド型での出店だが、羽田空港のターミナル内や、東京・新宿、大阪・梅田といった都市部の繁華街にも出店。24時間営業モデルの検証も行うなど、多様な顧客ニーズに応える取り組みも進めている。263月期には売上高122億円、2ケタ増収という目標を掲げている。

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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