置き配やLINE活用=再配達削減へ対策加速―物流各社
物流各社が再配達を減らすため知恵を絞っている。手渡しせずに玄関先などへ荷物を置く「置き配」や、通信アプリ「LINE」による受け取り日時・場所指定など対策はさまざま。インターネット通販の普及で宅配便の個数が増加し続ける一方、残業時間規制の導入でドライバー不足が深刻になる「2024年問題」に直面しており、輸送力の維持・強化が急務になっている。
ヤマト運輸は10日、主力の「宅急便」と「宅急便コンパクト」で置き配サービスを始める。事前に個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」に登録すれば、玄関先のほか、車庫や自転車かごなどを置き場所に指定できる。ライフスタイルの変化に合わせ、「多様なニーズに対応して荷物を受け取りやすくする」(広報)狙いだ。
日本郵便も「ゆうパック」などで置き配サービスを実施している。利用には事前に指定場所を申請する必要がある。佐川急便は、同社と契約したネット通販業者から商品を購入する場合などに限り、場所を指定した置き配を選択できるようにしている。
各社は、LINEやメールで配達予定を事前に通知し、不在時には日時や受け取り場所を変更してもらうことでスムーズに受け取れる仕組みを整えた。受け取り場所についても、駅やスーパーなどに設置されたロッカーやコンビニなど幅広く選べるようになってきた。
ただ、都心部では「マンションの宅配ボックスが埋まってしまって、利用できないことがある」(物流会社)との声も聞かれる。集合住宅での荷物の受け渡しには工夫の余地がありそうだ。
国土交通省によると、宅配便の取り扱い個数は22年度に50億588万個で、再配達率は1割超に上った。政府は24年度に6%に抑制することを目標に掲げている。