小売業のチャネル間格差の要因が「全体最適」にある理由

青木 英彦 (東京理科大学大学院教授)
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第一世代の凋落は日本固有の現象

 連載第1回では、小売業界における過去20年間の優勝劣敗は、第一世代(「製・配・販」独立型)が第二世代(製造小売型)にシェアを奪われる構図で説明できることを示した。第2回では、このチャネル間格差を実際の売上高で検証するとともに、その要因を分析していきたい。

 第一世代チャネルの代表格である、日本百貨店協会加盟企業と日本チェーンストア協会加盟企業の販売総額と、第二世代の代表企業の売上高を比較したのが、図表❶(衣料品)、図表❷(住居関連品)である。

データ イメージ
第2回ではチャネル間格差を実際の売上高で検証するとともに、その要因を分析していきたい。(i-stock/metamorworks)

衣料品

 百貨店とチェーンストアの衣料品売上高合計は、2000年から20年までに6兆7336億円から1兆8907億円へと4兆8429億円減少した一方、ファーストリテイリング(グループ国内売上高)は同期間に8239億円、良品計画(衣料雑貨単体売上高)は944億円、2社合計で9184億円の増収を達成した(図表❶)。過去20年間の年平均成長率(CAGR)は、百貨店とチェーンストアの合計販売額が年率6.2%の減収だったのに対し、ファーストリテイリングと良品計画の売上高合計は年率7.7%の増収だった。劇的なシェア変動が起こったことが見て取れる。

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記事執筆者

青木 英彦 / 東京理科大学大学院 教授

東京理科大学大学院 経営学研究科 技術経営専攻(MOT)教授。

1989年神戸大学経営学部を卒業し、野村総合研究所に勤務。野村證券インターナショナル(米国ニューヨーク市)、ゴールドマン・サックス証券、メリルリンチ日本証券、野村證券にて小売・EC担当証券アナリスト業務に従事。2020年9月より現職。1994年米国Duke大学Fuqua School of BusinessにてMBA取得。2018年神戸大学大学院経営学研究科後期課程修了、博士(経営学)。日本証券アナリスト協会検定会員、CFA協会認定証券アナリスト、日本小売業協会CIO研究会ステアリングコミッティ委員。同流通サプライチェーン政策研究会メンバー。21年12月より加藤産業株式会社社外取締役、23年6月より株式会社ワールド社外取締役

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