小売業のチャネル間格差の要因が「全体最適」にある理由
第一世代の凋落は日本固有の現象
連載第1回では、小売業界における過去20年間の優勝劣敗は、第一世代(「製・配・販」独立型)が第二世代(製造小売型)にシェアを奪われる構図で説明できることを示した。第2回では、このチャネル間格差を実際の売上高で検証するとともに、その要因を分析していきたい。
第一世代チャネルの代表格である、日本百貨店協会加盟企業と日本チェーンストア協会加盟企業の販売総額と、第二世代の代表企業の売上高を比較したのが、図表❶(衣料品)、図表❷(住居関連品)である。
衣料品
百貨店とチェーンストアの衣料品売上高合計は、2000年から20年までに6兆7336億円から1兆8907億円へと4兆8429億円減少した一方、ファーストリテイリング(グループ国内売上高)は同期間に8239億円、良品計画(衣料雑貨単体売上高)は944億円、2社合計で9184億円の増収を達成した(図表❶)。過去20年間の年平均成長率(CAGR)は、百貨店とチェーンストアの合計販売額が年率6.2%の減収だったのに対し、ファーストリテイリングと良品計画の売上高合計は年率7.7%の増収だった。劇的なシェア変動が起こったことが見て取れる。
青木英彦教授の小売アカデミー の新着記事
-
2024/10/04
正しい判断力と鋭い断行力をさらに養う3つの論点 -
2024/09/09
将来的なリスクを適切に管理する「潜在的問題分析(PPA)」の技法 -
2024/07/19
複数の選択肢から最適な案を選択する「決定分析」の技法 -
2024/06/20
KT法の極意 5つのステップで真因に迫る、問題分析の技法 -
2024/05/17
組織の惰弱な意思決定を解消する「KT法」とは何か -
2024/04/05
日本のリーダーシップ形態の急所! 意思決定法の組織浸透が急務
この連載の一覧はこちら [11記事]
関連記事ランキング
- 2023-11-27チーズ市場、直食系チーズは苦戦する一方、料理用チーズは堅調に推移
- 2023-11-10百貨店跡でも大繁盛!ロピア、競合を寄せ付けない安さの背景にあるものとは
- 2023-11-09オーケー、業務スーパーなどディスカウントスーパー調査で判明した意外な利用実態とは
- 2023-11-10ビッグ・エーが実践する、顧客が支持するプライシングの妙と商品政策とは
- 2023-11-11新たな取り組み続々、ビッグ・エー横浜日野店の売場づくりを徹底解説!
- 2023-11-13東海ディスカウントSMの雄、カネスエ フード&ドラッグも圧倒する価格訴求の妙とは
- 2023-11-17光洋が京都府下の郊外に初出店、八幡店の売場づくりを徹底解説!
- 2023-11-14ディスカウントの本質、日本の激安スーパーのほとんどが「ディスカウント」ではない理由
- 2023-11-21今注目の「ノンフード・ディスカウンター」とは
- 2023-11-20小売業のチャネル間格差の要因が「全体最適」にある理由