なぜライフは強いのか?巨艦店「セントラルスクエア押上駅前店」の現在・後編

矢野清嗣
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ライフが“二頭立て”経営を推進する意図とは

 東京以外を拠点とする食品スーパーチェーンが首都圏進出を挫折したケースを筆者は数多く目にしてきた。近畿圏と首都圏では生活習慣や商慣習などが異なるのが主な要因だろう。
 筆者は以前、ライフの清水信次会長をよく知る人から、「会長が『東京は魔都だ』と述べていた」と聞いたことがある。清水会長はおそらく、首都圏の魅力と(攻略する)難しさを、直感していたのではないだろうか。そしてその意識が、首都圏と近畿圏の“2都”で運営を独立させ、競わせることで首都圏を攻略するという戦略につながっていったのかもしれない。

セントラルスクエア
「押上」駅側からみた「セントラルスクエア押上駅前店」


 「ライフの強さは何か」――。問われたならば、それは現場の販売力だと筆者は答える。
 その礎になっているのは、各部門責任者の仕事に対する姿勢であると思われる。ライフの売場を見ていると、本部による多少の縛りはあるが、「あくまで稼ぐのは現場である」という現場主義が徹底しているのが伝わってくる。売場のいたるところで売上をアップするための仕掛けがなされている。そして、押上駅前店をはじめとした東西の旗艦店舗の好調がライフの強さを支えるエンジンとなっている。
 ライフの最新期(19年2月期)の売上高は6898億円で、7000億円の大台も見えてきた。その先に見据えるのは「1兆円企業」か。高い目標に向かって現場力を鍛えるライフの経営姿勢が、この巨艦店からは伝わってくる。

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