「LOHACOが乗っ取られる!」ヤフーと対立のアスクル、会見で岩田彰一郎社長が語ったすべて
経営の独立性が脅かされている
岩田社長が問題としているのは、アスクルが経営の独立性を保つためにヤフーと結んだ業務・資本提携契約の実効性が脅かされようとしていることだ。「支配株主であるヤフーが、コーポレートガバナンスや少数株主、その他多くのステークホルダーの利益を無視している」と、岩田社長は怒りを露わにした。また、ヤフーがLOHACO事業の譲渡だけを要求し、その後のプランを語らないことに対しても疑問を呈している。「LOHACOは、アスクルの物流やオペレーションのノウハウと組み合わせることで成長できるEC事業である。そのため、LOHACOの運営権だけを切り離しては利益性を確保できない」(岩田社長)。
ヤフーはアスクルからの業務・資本提携解消の提案を拒否しているが、アスクルは引き続きヤフーに契約解除を求める方針を明らかにした。「まずはヤフーと再度話し合いの機会を設けたい」と岩田社長は説明する。もし平和的解決ができなければ、事業の独立性が損なわれた場合に実行可能な株式の「売渡請求権」を行使することも視野に入れるという。
今回の記者会見は、「会社は誰のものか」、そして「上場子会社と支配株主とのねじれ(利益相反)」というコーポレートガバナンスに関する問題提起と唐突なヤフー側の変節を、メディアの報道を通じて世論に訴えかけることがねらいだ。世論が盛り上がれば、現時点では「協議の必要性はない」と断じているヤフー側が譲歩する可能性もゼロではないかもしれない。いずれにせよアスクルは、8月2日の株主総会までに、問題解決の糸口を見つけることができるかが焦点だ。