カインズ、高家正行社長が語る「デジタル内製化」の理由とデジタル戦略の全貌とは

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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DX白書1280

ホームセンター(HC)業界最大手のカインズ(埼玉県)は、2018年に「IT小売業宣言」を打ち出し、現在に至るまで大胆なデジタル投資を行ってきた、国内小売におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の先進企業だ。IT小売業宣言から4年超が経過し、カインズのDXは今どんなフェーズにあるのか。高家正行社長CEOに聞いた。

※本稿は2023年3月1日発行の別冊「流通テクノロジー」で掲載された記事です。取材内容や所属などは発行日時点のものです。

デジタルで新たな価値を!カインズの「第三創業期」

──カインズがデジタル化を推進してきた背景について聞かせてください。

下院酢代表取締役社長CEO 高家正行氏
高家正行(たかや・まさゆき)
●1963年3月東京都生まれ。85年に慶應義塾大学経済学部を卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)に入社。99年にA.T.カーニー、2004年にミスミ(ミスミグループ本社)に入社し、08年に同社社長就任。16年にカインズ取締役となり、副社長を経て19年3月から現職。22年3月から東急ハンズ(現:ハンズ)代表取締役会長も兼務している

高家 2018年に土屋裕雅前社長(現会長)が「IT小売業宣言」を掲げました。海外での店舗視察やIT・デジタル領域のカンファレンスへの参加などを通じて小売業におけるデジタルやテクノロジーの進化を実感し、「I Tを駆使した小売業にならなければいけない」と決意したのです。

 カインズは1989年の創業以降、多店舗展開と店舗の大型化によってスケートメリットを追求し、HC事業を確立した「第一創業期」、07年に「SPA(製造小売業)宣言」を打ち出してオリジナル商品の開発を強化し、多店舗展開との両輪で運営する「第二創業期」を経て、成長し続けてきました。

 これに続く「第三創業期」では、多店舗展開やSPAに加えて、流通業としての新たな価値を創出する必要があります。その重要なファクターとしてデジタルは不可欠です。

 19年3月、私が社長に就任すると同時に、19~21年度までの3カ年の中期経営計画「PROJECT KINDNESS(プロジェクト・カインドネス)」で「デジタル戦略」を柱の1つに位置づけ、「IT小売企業」の実現に向けて具体的に動き出しました。

──デジタル化を推進する専門部署「デジタル戦略本部」はどのようにつくっていきましたか。

高家 組織は上からつくるのが定石です。創設時は社長である私が本部長に就任し、デジタル化に本気で取り組むという姿勢を社内に示したうえで、19年7月に池照直樹現執行役員CDO(最高デジタル責任者)兼CIO(最高情報責任者)が本部長に着任しました。池照本部長を中心に、アプリ開発、デジタルマーケティング、オウンドメディアのコンテンツ制作など、組織に必要な機能と人材の拡充を進めた結果、デジタル戦略本部は約3年で200人規模まで拡大しています。

デジタル人材の内製化を進めた理由

──デジタル人材の雇用では、

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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