イトーヨーカ堂が神戸大学と提携し「AIスマート空調システム」を店舗に本格導入
夏場のエネルギー消費量半減! 実証実験では大きな効果
今回イトーヨーカ堂向けに導入したシステムでは、POSデータを活用し、曜日や時間帯ごとの売場の人流を解析できる機能などを新たに実装している。「AIでは、POSデータの分析に加えて、テナントや施設の特性を学習することもできる」と神戸大学の長廣剛特命教授は語った。
イトーヨーカ堂では今回の本格導入に先立って、「イトーヨーカドー八王子店」(東京都八王子市)にて24年1月から7月にわたって、AIスマート空調システムを試験的に運用した。その結果、空調関連のエネルギー消費量が約40%減少し、CO2の排出量が136トン削減された。特にエネルギー消費量の多い夏場に創出される効果は大きく、同期間では56%の削減に成功した。
八王子店での試験運用ではさらに、従業員のエネルギー消費に対する意識向上という副次的な効果も見られたという。
同店の従業員からは「(システムの導入に伴って)従来と異なる視点からの温度管理に取り組んだことで、省エネ意識が高まった」「店舗における空調の仕組みやあり方について学ぶ機会になった」などといった声が寄せられた。
計画どおり約70店舗への導入が完了すれば、「GREEN CHALLENGE 2050」で掲げた、2030年のCO2排出量削減目標に対して24年度以降に必要な削減量の4.2%にあたる、約2.2万トンの削減が見込まれている。
同システムは当面、イトーヨーカ堂の店舗での導入を拡大していく方針。またシステムの仕様上、個別空調方式を採用している「ヨークマート」「ヨークフーズ」などへの導入は今のところ予定していないとしている。他方、イトーヨーカ堂各店で得られた成果については、グループ各社への情報共有も行っていくという。