最終回:DXの成功条件とは

解説:長谷川 秀樹 (ロケスタ代表)
文:高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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ぼったくりの保守・運用費

 DXの“聖域”として残されがちなのがシステムの保守・運用費です。経費節減を進める中でも、「何かあったときに大変だから」という理由で削れない企業が多くあります。

 しかし、この保守・運用費はベンダーが儲けているだけで、ユーザーの役に立っていないことがほとんどです。勇気を出して、保守・運用は継続的に支払うのではなく、何か問題があったときに対応してもらう「スポット保守」に変更するのがオススメです。これに切り替えるだけで保守・運用費を大幅に低減させることができます。

 スポット保守に切り替えると「対応が遅れてしまう」とベンダーは言いますが、それは嘘です。ベンダー側は、保守専門で24時間監視し続けている人員を抱えているわけでなく、そのほかの業務を兼任しながら何かあったときに駆けつけるというのがほとんどです。

 情報システム部長がスポット保守に切り替えるという判断はなかなかできません。スポット保守に切り替えてコストカットしても評価されるわけでもなく、何かあったときに責任をとらされるリスクだけが残るからです。

 DXを進める経営者は、情報システム部とベンダーの“一蓮托生”の癒着を断たなければなりません。

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解説

長谷川 秀樹 / ロケスタ 代表

1994年アクセンチュア株式会社入社。2008年株式会社東急ハンズ入社後。2011年、同社執行役員に昇進。2013年、ハンズラボ株式会社代表取締役社長就任(東急ハンズの執行役員と兼任)。2018年、ロケスタ株式会社代表取締役社長就任。2018年10月株式会社メルカリ執行役員就任。2020年2月生活協同組合コープさっぽろCIO就任。その他複数社のCIO兼務。

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月よりダイヤモンド・ホームセンター誌編集長。ホームセンター業界のトレンドに精通しており、TV・ラジオなど数々のメディアに出演するほか、ダイヤモンド・リテイルメディアYoutubeでも業界解説動画を配信している。

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