RaaSモデルに移行!?SMを根幹から変えるU.S.M.HのDX戦略
マルエツ(東京都)、カスミ(茨城県)、マックスバリュ関東(東京都)の3社を束ねる持株会社であるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都:以下、U.S.M.H)が事業モデルの変革を急いでいる。同社が取り組むDX戦略に関して、プログラムマネジャーを務める満行光史郎氏に話を聞いた。
<プロフィール>
みつゆき・こうしろう
1980年生まれ、東京都出身。
2019年カスミ入社、同年5月に同社執行役員、20年3月に取締役執行役員ビジネス変革本部マネジャーに就任。21年3月からU.S.M.Hプログラムマネジャーを兼任
DXが最重要課題
RaaSモデルに移行
「今の食品スーパー(SM)のモデルは5年ももたないと本気で思っている。このままでは潰れる」——。
満行氏のこの言葉通り、U.S.M.Hが昨年発表した「第2次中期経営計画」には、「既存ビジネスの大きな伸張はない」と明確にうたっている。
中期経営計画では、デジタルをすべてを支える基盤として捉え、投資の傾斜配分も行うことで、これまでとは異次元のスピードでその動きを早めていく方針を掲げている。
実際、満行氏は「DXの位置付けは最重要課題」であると指摘する。
その明確な意思表示が、2021年5月21日に実施したU.S.M.Hの第6回定時株主総会でなされている。この株主総会で定款の変更が決議されているのだ。新しい定款には、事業目的としてシステム・ソフトウェアの開発や販売、文化教室の企画や運営、電子マネーなどの発行、販売、およびその管理システムの提供が加わっている。
これは、従来のSMという事業ではなく、自社が蓄積したデータやノウハウ、自社が開発したサービスを他社へ販売するという新しい事業モデルを構築(RaaS化:Retail as a Service)するのだという明確な意思表示にほかならない。