製造から物流、販売まで一貫した“お役立ち”ソリューションを紹介
5日から東京ビッグサイト(東京都江東区)でリテールテックJAPAN2019が開幕した。今回、パナソニックは展示スペースを前回の12小間から40小間へと大幅に拡大。「現場プロセスイノベーション」をテーマに、「現場間を横断したデータ連携によるプロセス改善」「倉庫や店舗といったサプライチェーンの各現場の作業効率化」といったソリューションを紹介している。
パナソニックは今年1月、社内カンパニーのコネクティッドソリューションズ社に「現場プロセス本部」を新設した。ITやロボットを活用して製造・小売・物流などで「現場プロセスイノベーション」を起こすのが狙い。人手不足や生産性向上に直結するさまざまなソリューションをリテールテックJAPAN2019のブースでアピールする。今回の展示に関して、コネクティッドソリューションズ社の常務取締役の山口有希子氏は、「今年1月に製造・物流・流通業へのソリューション開発でJDAソフトウェアグループと提携した。パナソニックが蓄積してきたノウハウや技術力とJDAのソリューションを組み合わせてデータを見える化し、製造から物流、販売まで一貫した“お役立ち”を提供していく」と語る。今回の展示も直接“お役立ち”につながる製品群やソリューションを前面に押し出しているとしている。
人手不足への対応や“働き方改革”は流通業にとっても大きなテーマ。リテールテックの会場でもそうした点をアピールする展示が目白押し。現場プロセス本部の一力知一氏は、「店舗ソリューションのように“表の競争力”とバックヤードの業務改革を図る“裏の競争力”がある。“裏の競争力”を発揮することは、結果的に“表の競争力”を高めることになる」と力説する。品出しや棚補充を自動化できれば、その分“表の競争力”として店頭接客に時間を割り当てることができる。“裏の競争力”を高めなければ、どれほど“表の競争力”を高めても、それを十分に発揮することができないというわけだ。「人手不足と言いながら、分析してみると実は違っていることもある。そのような提案もしていきたい」と一力氏は語る。
搬送機やロボットなど実システムの展示で「現場改革」をアピール
リテールテックJAPAN2019でのパナソニックブースは、「見える化データ活用ゾーン」でセンシング技術やITソリューションを活用し、データ連携によるプロセス改善を提案している。具体的にはJDAとの協業によるサプライチェーンイノベーションから省人化・無人化店舗に不可欠な電子棚札ソリューション、欠品検知システム、行動分析システム、さらに同時開催されているセキュリティショー2019で紹介されている顔認証ソリューション「KPAS」も展示する。「オフィスの入退室管理などに普及していく」(イノベーションセンター・古田邦夫氏)という顔認証システムだが、来店客をチェックする店舗用としての活用も可能だ。また、配送見える化ソリューション、倉庫見える化ソリューションなども展示。これらのソリューションはデモシステムを用意しているので、来場者にとってわかりやすい内容となっている。
広いスペースを活用して展示しているのは「自動化・作業支援ゾーン」。同ゾーンではさまざまなシステムの実演が行われている。荷物荷仕分け支援システムは、実際の倉庫を模して荷物の仕分け実演を行う。また、自動搬送システムを紹介するスペースも、実際の倉庫のようにAGV(自動搬送台車)を動かして荷物の移動の実演を行っている。さらに厨房自動化ソリューションでは、中国の有名な火鍋レストランチェーン「海底撈」に昨年秋に導入されたのと同じロボットによる食材の搬出システムを展示。ロボットは他社製だが、さまざまなパートナー企業の製品を組み合わせてユーザーニーズに応えるソリューションを提供できるのもパナソニックの「現場プロセスイノベーション」の強みというわけだ。