常識や慣習にとらわれない! ロピア可児店の売場から感じた「売りたいものを売る」という姿勢
●冷凍食品・アイスクリーム 開店直前に売場縮小?
ロピアの冷凍食品・アイスクリーム売場は平台什器を2レーン設けているケースが多いが、可児店は1レーンでの展開となっている。当初の計画では2レーンであったものが急遽1レーンに変更したものと筆者は推測する。そのため、加工食品売場と冷凍食品売場のあいだには広いスペースができてしまっていた。冷凍食品を大胆に狭めたのだろうか。売場からはその意図を読み取ることができなかった。
売場を見ていくと、平台什器では「餃子無人販売所」と大きく書かれた看板を掲げ、「ユーラス・やみつき肉餃子25g×30」(699円)をメーンに、「八洋食品」「CJジャパン」、「大阪王将」「バーミヤン」などの大袋商品17品目を扱。そのほか、チキンナゲットや唐揚げなども業務用・大袋商品を揃えていた
16尺の多段冷凍ケースでは、中部1号店の「モレラ岐阜店」でも導入した岐阜県の食品メーカー「サンミール」の「冷凍マルゲリータピザ」(499円)、「ミックスピザ」(699円)など冷凍ピザ4種類を販売、どれも安定して売れているようだった。エンドの6尺では、利恵産業が製造する付加価値型の冷凍総菜シリース「ラクゴチ」を販売しており、新商品として道場六三郎監修の「漁師町の海鮮釜めし」(698円)をラインナップしていた。
売場を大胆に縮小させたこともあってか、従来から続く「家庭用商品の強烈な価格訴求」から脱却した、独自の冷凍食品売場スタイルが確立がされつつあるように感じた。
●酒類 小型スーパーマーケット並みの扱い?
酒類売場の売場スペース構成比は5%と、「柳津店」の4%よりは多少広いものの、コンパクトな売場となっていり。日本酒は3尺5段1本で43品目、焼酎乙類は3尺5段1本26品目など、品揃えは小型スーパーマーケットくらいしかなく、だいぶ絞り込んでいるようだ。
ワインは国産13品目、スパークリング15品目、輸入53品目、そのほか直輸入ワインを13品目揃える。価格帯は285~1999円で、ゴンドラ下段に並べて直輸入ワインは価格訴求の位置づけでよく売れているようだ。
●まとめ 「売りたいものを売る」という姿勢
今回の調査は、オープンから約1カ月が経過してからの訪問となった。日曜の朝、開店前に店舗を訪ねると、約30人の行列ができていた。開店から1カ月後ということを考えるとやや並びが少ないように感じたが、開店してから5分後には“生鮮ゾーン”はお客であふれ、いつものロピアの光景になった。
バロー(岐阜県)の撤退跡への居抜き出店となった可児店。周辺は住宅街であるものの、スーパーマーケットの商圏という観点から考えると人口はやや少ないとみられる。それでも店内はお客でにぎわっており、ロピアの集客力の強さを改めて思い知らされた。
2022年10月に開業した「三田対中店」(兵庫県三田市)の売場レポートでも解説しているが、この可児店でも、一般的なスーパーマーケットでは考えられない売場づくりに取り組んでいる点に注目だ。
スーパーマーケットに携わる人の多くは、「売れ筋」と「死に筋」という考えが染み付いてしまっていることだろう。だが、こうした考えはロピアにおいてはあまり重要ではないようだ。ロピアの店舗を見ていると、売れ筋商品を扱っていない売場も多く、扱っていたとしても一般的に視認性が悪いとされる棚の最上段に陳列しているのが目を引く。たとえば、加工食品の調味料コーナーでは、売れ筋の「Mizkan・味ぽん600mℓ」を最上段に配置し、グループ企業の丸越醸造の商品をメーンに扱っている。
本連載で幾度となく述べているが、こうした試みから感じられるのは、ロピアの「自分たちが売りたい商品を売る」という姿勢だ。現在は多くのチェーンがメーカーや問屋の“しがらみ”に縛られ、自らの発想による売場づくりができないでいる。
おそらく、スーパーマーケットやメーカーの関係者のほとんどは、こうしたロピアの試みを「ネガティブ」に捉えることだろう。だが、ロピアの売場を見ていると、われわれスーパーマーケット業界の人間は「売れ筋」「死に筋」という呪縛にとらわれているのではないかとすら思う。ロピアの現場担当者の創造力にはいつも驚かされる。
(店舗概要)
所在地 岐阜県可児市今渡840-2
開店日 2022年10月18日
売場面積 売場:約520坪、袋詰場所・事務所:約40坪(ともに歩測)
営業時間 9:30~19:00
駐車台数 517台
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