流通小売業の店内装飾物の制作・掲示には課題が多い=アンケート調査

川井 直樹
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店内装飾の制作には「コスト」や「人材」の課題も

 店舗装飾に対する満足度は、「大変満足」はわずかに0.5%、「やや満足」17.5%、「普通」46.4%、「やや不満足」17.5%という結果になった。問題として挙げられたコメントには「人材とコスト」「単価が高い」「経費と時間」「制作者が店舗を知らない」「統一感が出せない」「人材不足で後回しになってしまう」など、コストと人材不足が課題とする回答が多かった。外注する場合でもそもそもデザイナーが「店舗を知らない」ために、制作物を掲示しても「(店舗の大きさ・商品配置の違いから)統一した貼付ができない/統一感がない」ということになりかねない。

 また、「お客様に何をアピールしたらいいか。とくに年配者がPOPを読まない」という点を指摘する企業もある。店舗オペレーションとの関連では、「売り場の邪魔になる」「作業人員が割けない」「取付け方法にばらつき」などの問題を挙げるケースもあり、店内装飾の改編のタイミングなどに苦慮している様子がうかがえる。

 外注に対する課題は、「デザイナー不足ですぐに出来上がらない」「完成までの納期がかかる」「校正に時間がかかる」「デザインの流用に費用が発生する」などコストに加えてリードタイムの長さを指摘する意見が多い。どうしてもポスターやのぼりなどは早目の発注が求められそうだ。

コストをかけず、スキルがなくても扱えるツールが求められる

店舗スタッフ
店舗スタッフは多様な人材がおり、デザインの得意不得意によって品質にバラつきが生まれる getty/tdub303

 社内制作の場合は、「スタッフのレベルアップ」「社内コストは安いが担当者の得意不得意により店舗に差が出る」など人材のスキルの面に課題が集中する。店舗スタッフは専門のデザイナーではないためスキルが劣るのは仕方なく、ほかにも店舗作業に追われる時間もあるため低コストでスピーディ、デザイン性に優れるソリューションが求められる

 店内装飾物はポスターでもPOPでもブランドイメージにつながる面が大きいだけに、「普通」という回答が半数近くを占めているのは、店舗の魅力の発信と集客、売上アップに課題を抱えていると証拠と見ることもできる。ポスターやPOPを容易に制作できるテンプレートが用意され、スキルがなくても誰でもちょっとの工夫次第でオリジナルの制作物を作れるようなソフトやプリンターといったデジタルツールを配置するといった環境整備が必要になってくる。これらの課題を含めて、「今後ともさらに工夫が必要」とする見方は根強いようだ。

 最後に棚札の作成方法についても聞いた。その回答ではラベルプリンターを使用して作成している企業のうち、ラベルプリンターを使用している企業は59.6%。プリンター併用も含めて外注している企業は29.8%だった。

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