流通小売業の店内装飾物の制作・掲示には課題が多い=アンケート調査

川井 直樹
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低コストでスピーディ、デザイン性に優れるソリューションが求められる

saleポップ
getty/primeimages

 ダイヤモンド・リテイルメディアでは昨年12月、流通小売業を対象に「販促物制作環境に関するアンケート調査」を実施した。少子高齢化による販売量ダウンの怖れやそれにともなう競争激化、人手不足で従業員の確保もままならない環境下で売上アップや集客向上に寄与するために、店頭での訴求に重要なツールであるポスターをはじめとした販促物をどのように制作しているかを聞いた。

 多くの企業で販促ツール制作に力を入れるだけでなく、プリンターを活用して効率的に制作している企業が多いという実態が明確になった。

■「既存店の集客力向上」が経営課題のトップ

 今回の調査に対する回答企業は116社。北海道から沖縄までカバーしている。冒頭の質問では「経営課題」について聞いた(複数回答)。質問では優先順位①~③までに順位付けして回答してもらっている。全体の回答企業数がトップとなったのは「既存店の集客力向上」で、同回答の優先順位を①とした企業が最も多かった。

 次いで大きな経営課題として挙げられたのが「来店頻度増加」で、トップの「既存店集客力向上」と同時に課題とした企業も多く、既存店の集客力アップによる来店頻度の増加が重要課題であることが明確となった。さらに「新規顧客獲得」と続き、店舗の訴求力を高めることで新規顧客の獲得や既存顧客の来店頻度増を図るなど集客力アップに注力している企業が多い。

経営課題の優先順位
ダイヤモンド・リテイルメディア調べ

 集客力アップの対策についてのコメントでは「ポイント企画など他店との差別化」「販促での価格訴求」「折込みチラシや店舗掲示物など販促」など、既存の取組を継続、拡充していくという。従来からの取り組み以外では「スマホ決済の導入」や「SNS活用」というコメントもあり、デジタルマーケティングの関心もうかがえる。

店内で目立つポスターやフロアPOPの社内制作も進む

 集客力アップに欠かせないのがPOPや店内装飾。店舗装飾の目的についての質問(複数回答)では、約3分の1の企業が「集客」と回答。そして定番ともいえる「購買の一押し」「商品のPR」「季節の演出」が高い比率を占めている。

店舗装飾を行う目的
ダイヤモンド・リテイルメディア調べ

 集客や購買アップが目的の店舗装飾の内容については、上位からポスター、フロアPOP、トップボード、のぼりとなっており、上位の装飾物は大判プリンターで作成可能なものであることから大判プリンターの需要は高いといえる。

 また近年店頭のデジタル化が進んでおり、今回の調査結果ではデジタルサイネージの活用も見られた。

店舗装飾の内容
ダイヤモンド・リテイルメディア調べ

社内制作の4分の3はプリンター利用

 それら店内装飾の制作方法については、外注制作と社内制作を併用するケースが多い。多くの場合、トップボードやのぼりについては外注するケースが多く、ポスターや小物POPでは社内制作している傾向が高い。各掲示物について「社内制作」と回答した企業(延べ数)は197。そのうち「プリンターで印刷」と回答した企業は152で4分の3以上は、社内でプリンターを使って自社制作していることになる。

 店内装飾物の発注権限についての質問では「本社(本部含む)」と回答した企業は103社と9割超(90.3%)を占めた。本社と店舗(一部店舗を含む)のそれぞれが権限を持ちあう企業も10社ある。「店舗」だけに権限があるのは6社にとどまっている。店舗が必要とする装飾物を、店舗の判断で制作できる企業はまだ少ないようだ。ただ本社のコントロールの下で、店舗にデータを送り必要に応じて店舗のプリンターで出力するケースも少なくはないようだ。

 発注の頻度については、「ほぼ毎週」と「2週間に1度」とする企業はともに0.7%ずつ。それに対して、35.0%の企業が「月に1度」と回答。「2-3か月に1度」と回答した企業は14.9%だった。「2-3か月に1度」とする企業は、必ずしも「季節の演出」という店内装飾実施の目的とは一致しない。

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