イトーヨーカドー食品館川越店レポート 首都圏スーパー戦略の実験店か?
地元メーカーの商品を多数品揃え
2階でも地元商品を積極的に売り込む。青果売場では9つの農家から直送された地場野菜を、地元農協「JAいるま野」の「あぐれっしゅ川越 出張所」の名称でコーナー展開している。
精肉売場では、地元の老舗醤油メーカー「松本醤油」のタレで味付けした豚肉や鶏肉を品揃えする。また、加工食品売場でも松本醤油の商品約30アイテムをエンドでコーナー化したほか、壁面で展開する駄菓子売場では川越市内のかりんとうの銘店である「蔵屋久兵衛」の商品を品揃えした。
そのほか和日配では、川越市内の学校給食でも使用されている「高橋製麺」のうどんや焼きそば麺などを展開している。
首都圏SM戦略の実験店?
GMSの構造不況がささやかれて久しい。そうしたなかでイトーヨーカ堂は数年前から直営の非食品売場を縮小しテナントの比率を高めるテナントミックス型の売場づくりにシフトしつつ、直営の食品売場を強化することで収益性の改善に取り組んできた。また、今回の川越店のように、GMSだった店舗を食品スーパーに業態転換して食品強化型の店舗につくり変えるといったケースもある。
セブン&アイの20年2月期第2四半期の決算発表では、イトーヨーカ堂の食品スーパー業態である「イトーヨーカドー食品館」の分社化が発表されている。また、ヨークマートやシェルガーデン、フォーキャストなどのセブン&アイ傘下の食品スーパー企業と連携し、首都圏で収益性の高い食品スーパーのビジネスモデル構築に本格的に取り組むことも発表された。
川越店はその発表後オープンした最初の食品館であり、什器などのハード面ではグループの食品スーパーの店舗づくりを一部参考にしたという。また、2階の加工食品売場では、大豆ミートや低糖質商品など健康志向の商品をコーナー化するなど、川越店は新しい商品やカテゴリー、売場づくりを実験する場としても活用されているようだ。同店を端緒として、イトーヨーカ堂は今後首都圏で収益性の高い食品スーパーのフォーマットづくりを進めていくとみられる。