ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)傘下でディスカウントスーパーを展開するエイヴイ(神奈川県/川野澄人社長)は2月16日、神奈川県海老名市に「エイビイ海老名店」(以下、海老名店)を出店した。エイビイ屋号の出店としては「南部市場店」(神奈川県横浜市)以来、約3年半ぶりに出店となる同店ではどのような売場づくりをしているのか。
調査日=2月23、27日、3月5日 ※本文中の価格はすべて本体価格
開発進む「海老名」駅近くに出店!
エイヴイが2月16日に出店した海老名店は、JRのほか小田急電鉄、相模鉄道が乗り入れる「海老名」駅から直線距離で約600mの場所にある。「海老名」駅周辺は現在、大規模な開発が進行中で、とくに西口は15年に「ららぽーと海老名」が開業して以来、多くのマンションが建設されている。それらマンションに囲まれたエリアの一角に、海老名店は店を構えている。
海老名店の売場面積は1500坪で、同じ建物内にはドラッグストアの「クリエイトエス・ディー」がテナントに入る。「南部市場店」の売場面積が1100坪、業務支援で展開する「スーパーマーケットARAI」(埼玉県熊谷市)が750坪であることを踏まえると、大型店の位置付けとなるのだろうか。ただ、売場スペース構成比は、生鮮が25%、日配が24%とエイビイの標準のスタイルとなっている。
売場を見ていこう。エイビイ店舗の最大の魅力はなんといっても青果だ。海老名店の青果売場は約200坪(歩測)のスペースを割いており、価格訴求商品が多く、どの商品も思わず手が伸びてしまう価格設定となっている。
調査日は入口付近の平台に栃木県産「とちおとめ」(1パック199円)、愛媛県産「デコポン1個」「アボガド1個」「バナナ5本」を各79円と超特価で提供。野菜ではキュウリ(4本79円)を目玉商品として販売していた。
「売り切れ御免」の鮮魚売場
続く鮮魚売場は神奈川県横須賀市にある自社センター「平成鮮魚プロセスセンター」から納品した商品で売場を構成する。売場は壁面28尺で「生するめいか2杯」(599円)、「真いわし」(100g49円)などパック入り丸物18SKUを揃える。6尺の平台では、神奈川県産「金目鯛」(1尾500円)、長崎県産「真あじ」(1尾79円)などを販売。同コーナーは、週末の正午過ぎにはほぼ完売状態だった。
鮮魚はどのコーナーも夕方前には売り切れが目立ち、その販売力に驚かされる。この販売力は当然、その安さがお客に支持されているのは間違いないが、売場全体で鮮度管理が行き届いているという点にも注目したい。
続く精肉は、壁面84尺と平場48尺で売場を展開する。
主な商品を見ていくと、牛肉は「国産黒毛和牛サーロインステーキ用」(100g899円)、米国産「牛サーロインステーキ・ブラックアンガス」(100g279円)などステーキ12SKUをラインアップ。そのほか「ローストビーフ用」7SKU、「カレー・シチュー用」4SKU、「薄切り・切りおとし」9SKU、「牛肉・ラム肉焼肉用」13SKU、「豚肉焼肉用」4SKUなどを揃える。
豚肉は千葉県産「もち豚」をベースに国産豚肉を25SKU、輸入豚はカナダ産、米国産18SKU、スペイン産イベリコ豚3SKUをラインナップ。鶏肉は国産がベースで、調査日は、「国産若とりモモ肉3枚」を通常価格100g78円(ただし量目によって価格は異なる)のところ、100g49円で提供していた。
精肉は取り扱い品目が多く、鮮魚と同様に鮮度管理も徹底されている。海老名店は、ららぽーと海老名内に入る「ロピアららぽーと海老名店」と競合関係にあるが、ロピアを意識した対応はみられず、あくまでエイビイのスタイルを貫いている印象だ。たとえばロピアでは冷凍肉を豊富に扱っているが、海老名店では扱わず、生および解凍商品のみの対応となっている。
ローコストオペレーションの真髄
前述のとおり、海老名店は売場面積1500坪の大型店だが、売場で働くスタッフの少なさには驚かされる。たとえば青果は、売場の裏側に広い荷受け場所を設けているが、夕方近くになると、荷受け場所に商品はほとんどなくなっており、無人状態となっている。鮮魚、精肉も男性スタッフの姿はなく、女性スタッフが補充と商品チェックを行っているくらいで、その人数も少ない。
これは裏を返せば、「売れすぎて作業が追いつかない」のということなのかもしれない。だが、こうした“売り切れ御免”のオペレーションがエイビイのローコスト体質を支えていることは間違いない。エイビイのローコストオペレーションの真髄と言えよう。
次回は、日配、冷凍食品、菓子、加工食品、酒類の売場を解説していきたい。
(店舗概要)
所在地 神奈川県海老名市泉2-5-1
開店日 2022年2月16日
営業時間 10:00~19:00
売場面積 1500坪
駐車場台数 389台