おうちでスポーツ観戦、勝負は前半戦!売り込むべきカテゴリーとは?

文:児玉 一穂(日本食研ホールディングス株式会社 食未来研究室室長)
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「おうちでスポーツ観戦市場」は前半戦が勝負

 2021年7月21日~8月8日の期間で開催された東京の大会そのものについての検索推移を週別で見てみると、期間中ずっと高いままだが、「テレビ放送」のピークは前半戦に偏っていることがわかった【図2】。番組中に次の試合の日程が放映されるので調べる必要がないということも考えられるが、実際に食品の支出金額について2020年比の動きを見てみると、スポーツ観戦の必須商品であるビールやにぎり寿司、焼き肉用の和牛などは大会前半の伸び率が高く、後半は鈍化していることから大会前半にしっかり販促をかけることが重要であると考えられる【図3】

【図2】 テレビ放送の週別検索状況

【 図3】 期間別2020年比

 【図4】に大会の前半に伸び率が高く、売上も大きいカテゴリーをまとめた。ビールやチューハイなどのアルコール飲料、お茶や炭酸飲料などの飲み物が多いので、これらと一緒に食べられる菓子や刺身などのつまみ関係の充実は必須となる。また、家族みんなで観戦するためかデザートとなるアイスやゼリーなども大会期間中に伸びており、強化が必要だ。加えて、観戦中は手づくりするのが面倒となるためか、冷凍総菜の伸び率が高くなることも見逃せない。

【図4】 大会前半に需要が高まるカテゴリー

 後半はお盆が近いということもあり出費が抑えられる傾向もあるようだが、【図5】にあるように寿司種セットや焼き肉用セットなど若年層に買われやすい商品については大会期間中ずっと2020年比が高い状態を保っているために、後半は簡便でお得感のある商品の強化がねらい目となるのではないだろうか。

【図5】 大会後半まで好調なカテゴリー

定額減税で生じる消費意欲をねらう

 近年の記録的な物価高を背景に、2024年6月から納税者を対象とした所得税3万円、個人住民税1万円の定額減税が実施される。定額減税は、働き方や家族構成で実施方法や減税額が変わるなど、少し複雑な制度となるが、大まかに言えば4人家族であれば総額で16万円減税され、6月以降も総額分となるまで毎月減税されるので、世帯によっては大会期間中も財布の紐が緩くなる可能性がある。

 2020年、コロナ禍の時に定額給付金が1人当たり10万円、総額で約12.8兆円給付されたが、内閣府の調べでは8割が貯金に回され、2割の約2.6兆円が使われたとのこと。今回は総額約5兆円(給付金含む)となるので、同じく2割が支出に回されれば6月以降約1兆円分の消費が増える可能性があるのだ。もちろん、食品だけではなく洋服や旅行などの消費に回るケースもあるが、「スポーツ観戦を楽しくおいしく!」というテーマでしっかり売場づくりをし商品をアピールすることで、4年に一度のスポーツの祭典を存分に楽しんでもらえるようにしたい。

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