苦戦から一転、PB「セブンプレミアム」が早くも復調した理由とは
セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)が手掛けるプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」が復調している。マーケットを見据え、多様なニーズに対応することで、成果を上げているようだ。誕生から約17年、現在も進化を続けるセブンプレミアムの商品開発の考え方や重点施策、最近の動向について、担当者を取材した。
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「松・竹・梅」の品揃えに手応え
「セブンプレミアム」が好調を取り戻している。2023年度(24年2月期)第3四半期末時点の売上高は1兆1200億円と、金額ベースで670億円も増えた。21年度はコロナ禍の影響もあって初めて前期を割り、22 年度は1兆3800億円で横ばいと、直近2年は足踏みしたものの、23年度の通期予想では1兆4500億円(前期から700億円増)と過去最高の水準になる見通しだ。
「主力商品を磨き込んで、より品質を高めたことがお客さまに支持された。ナショナルブランド(NB)が値上がりする中で、セブンプレミアムの品質と値頃感が見直されたのではないか」

そう話すのは、セブン&アイのグループ商品戦略本部副本部長で、セブンプレミアム開発戦略部シニアオフィサーを兼務する北村成司氏だ。
消費の二極化に対応し、22年9月にセブンプレミアムに仲間入りした価格訴求型の新ブランド「セブン・ザ・プライス」(以下、ザ・プライス)の値頃感がグループのスーパーマーケット(SM)業態の消費者に受け入れられた一方、主力商品の品質も評価され、「松・竹・梅のバランスがうまく取れたのではないか」と北村氏は手応えを語る。

セブンプレミアムは07年に誕生したグループ共通のPBだ。セブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)やイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)、ヨークベニマル(福島県/大髙耕一路社長)などグループの事業会社各社の商品開発担当者が加工食品、デイリー、生鮮などの部会を組織化し、取引先もそれに参画。いわゆる「チームマーチャンダイジング」と呼ばれる手法で商品開発を進めている。
23年度第3四半期時点のアイテム数は3400(ザ・プライスを含む)。アイテム数は改廃によって多少前後するものの、ここ数年は3400~3500前後で落ち着いている。それよりも重視するのが1アイテム当たりの販売数だ。北村氏によれば、セブンプレミアムの中で年間売上高10億円以上の商品は
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