ラインアップ強化が相次ぐ「2022年秋・冬」の新商品、ヒットの要因を探る
政情不安や原材料価格の高騰による物価上昇の影響から消費者の生活防衛意識が高まるなか、2022年秋・冬の新商品は、既存品のリニューアルやシリーズ品のアイテム拡充が多くみられた。主要カテゴリーのランキング1位商品を抽出しヒットの要因を探る。
安心感のある定番品やロングセラーブランドが好調
2022年7月~12月に新商品・リニューアル商品として発売された商品を期間金額PIでランキング化したところ、主要カテゴリーのランキング1位商品は【図表】のようになった。
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことで外出の機会が増えた一方、長引く原材料価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻による物価上昇、円安などの影響から、食品や日用品に対する消費者の購買意識は依然として保守的となっている。
こうした環境下、ランキングの上位に並んだ商品は、信頼感のあるロングセラーブランドのブラッシュアップや、人気ブランドのシリーズ品で占められている。
イートアンドフーズの「大阪王将 羽根つき餃子」は、18年秋の“フタいらず”への改良をはじめ、おいしさと簡便性を追求し継続的なリニューアルを行ってきた。今期はジューシーさをアップさせる素材を具材に細かく分散して閉じ込め、焼き上げた時に肉汁があふれる配合にリニューアル。
キリンビールの「キリン 氷結®無糖 グレープフルーツ」は余計な甘さのないクリアな飲み心地と、酸味・さわやかな苦みのバランスがとれた味わいが特長だ。アルコール度数は7%と4%をラインアップ。グレープフルーツはレモンに次ぐ人気フレーバーということもあり、現在では「キリン 氷結®無糖 レモン」シリーズと並ぶ人気商品となっている。
創味食品の「創味ハコネーゼ」は名前のとおり外箱を使用せず、そのコストを中身にかけることで専門店と比較し遜色のない味わいに仕上げた外箱なしレンジ対応パスタソース。今期発売の「生クリームとゴーダチーズの濃厚カルボナーラ」は濃厚でクリーミーな味わいが幅広い年代に受け入れられ、1番人気の「ゴーダチーズと香味野菜の濃厚ボロネーゼ」と並ぶ人気フレーバーとなった。
ニッスイの「まんぞくプレート」シリーズは白米と肉メーンのおかずがセットになったワンプレートメニューの家庭用冷凍食品。なかでも「ふっくらごはんとデミグラスハンバーグ」は食べ応えのあるハンバーグが好評で、メーンターゲットである単身世帯の男性のほか、40代から60代の女性も多く手に取っているという。
明治の「明治プロビオヨーグルトLG21」は、昨年12月、LG21乳酸菌が一時的な胃の負担をやわらげるのを助ける機能性表示を取得したことでリステージ。従来の中高年男性だけでなく若年ユーザーの獲得に成功した。一方「明治プロビオヨーグルトR-1」は、まとめ買いしやすく習慣化につながるラベルレスの「ドリンクタイプ低糖・低カロリー112ml×6本入り」が好調に推移している。
今期はロングセラーブランドの新フレーバーやリニューアル品の好調が目立ったが、コロナ禍が一段落し、消費者の購買行動がどのように変化するか、引き続き注視していきたい。
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