2024年の年末商戦、イオンリテールとサミットの予約商品の結果は?
2クリスマスや正月といった年末の大きなイベントは、小売業にとって重要な販売機会だ。前年に続き、物価高や節約志向の高まりが見られた2024年の年末商戦。消費者の選択や小売各社の施策にどのような変化があったのか。本記事では、イオンリテール(東京都/古澤康之社長)とサミット(東京都/服部哲也社長)の結果を振り返り、レポートする。

おせちの販売平均価格は3年連続で上昇!
帝国データバンクの「2025年正月シーズン『おせち料理』価格調査」によると、全国の大手コンビニや百貨店、スーパー、日本料理店など計100社で販売されたおせち料理(三段重または3~4人前分)の平均価格は2万7826円(税込)だった。これは3年連続の値上げとなり、物価高の影響が表れている。
イオンリテールの25年の正月のおせち商品の実績は予約数が対前年比7.1%増、売上高が同5.2%増と好調だった。24年8月に開催したお披露目会や、ECを中心としたクーポン販促など、プロモーション強化が売上を押し上げた。
とくに人気を集めたのは、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の和洋三段重「饗宴」(税抜1万9800円)で、売上高は同76%増を記録した。
そのほか、北陸復興支援を目的とし、金沢の老舗料亭「銭屋」が監修した「金澤ぜにや 和風三段重『春麗』」(同1万8000円)を販売した。また、干支を商品デザインに取り入れた「巳」(1万6800円)など個性的な商品開発が功を奏した。
サミットの25年のおせち商品は、予約数が同5.7%増、売上高が2.9%増と、前年を上回った。とくに、オリジナルの三段重「和洋おせち」(同2万3000円)は、奈良県でおせち料理の製造を行う「味の大和路」との共同開発によるもので、早期予約特典としてサミットカードに600ポイントを付与。こうしたポイント施策が、予約数増加につながったと見られる。
比較的求めやすい価格で、クーポンやポイントといった実質的な値下げ施策を打ち出した企業が消費者に評価されたようだ。

イオンリテールによると、「リーズナブルな1万~1万5000円、1万5000~2万円ラインが好調で、おせち料理だけでなくオードブルやハレの日メニューなどを増やしている」とのこと。また、リアル店舗からECへのシフトについてその動きを実感しているという。食品の配送や取り寄せが定着する中、おせち料理もEC需要が高まっている。こうしたトレンドは今後さらに加速するとみられ、イオンリテールによるEC中心のクーポン販促は、まさに時代に合った取り組みだ。
サミットも同様の傾向を示しており、担当者によれば「値上げの影響があるのか、低価格帯の商品の動きがよかった」という。近年は年末年始を家族で過ごすことが増えたことで、大人数向けよりも少人数向けのニーズが高まっていると同社は分析している。