スポーツビールにこんにゃくのシャリ、シアル・パリ2024が示す食の多様化とは
フランス・パリで2年に1度開かれる世界最大級の食品展示会「SIAL PARIS 2024」(以下、シアル・パリ)が、今年は10月19~23日の日程で開催された。
コロナ禍を経て、ロシアや中東での政情不安、それに起因するエネルギーや物価の高騰など、食を取り巻く環境は不安定さを増している。
そこで本誌では、シアル・パリの現地取材を敢行。①食の変化と多様化の最前線、②欧州市場における日本の食産業の立ち位置、という2つの論点で考察してみた。
シアル・パリが示す“食の多様化”の最前線
「食の変化」を共有する場に
シアル・パリは、フランスのコメクスポジウム社が主催し、2年に1度の頻度で開催されている食品の大型展示会だ。世界中から食品関係の企業や団体がブースを出展し、小売企業のバイヤーやメーカー関係者、そしてメディアも世界各国から参加して情報収集や商談を行う場となっている。
その規模の大きさゆえにコロナ感染拡大期の2020年は中止となったが、22年にはコロナ前を超える数の参加者を記録。世界的なインフレや政情不安などによって食を取り巻く環境が激変するなか、シアル・パリが担う役割はより大きくなっている。
記念すべき60回目の開催となった今年のシアル・パリには、前回(22年)から8%増となる約28万5000人が来場。展示スペースの総面積は27万㎡超、127カ国から7500社の企業・団体が約40万点もの製品を出品した。
日本企業の出展ブースの総面積も、対22年比で27%増となる約1253㎡に及び、出展企業・団体数も同18%増となる104社と伸長。また、日本からの来場者数は合計で約900人(出展関係者を除く)。小売企業やメーカーの関係者も多く来場しており、各ブースで積極的に情報収集や商談を行っていた。
シアル・パリのディレクターを務めるオドレイ・アシュワース氏は「出展者数・来場者数ともに大幅な伸びを記録し、世界をリードする食品見本市としての地位を確固たるものにした」としたうえで、「デジタル化が進む世の中においても、人と人との物理的な出会いとビジネス上のコラボレーションがいかに重要であるかを気づかされるイベントとなった」と、“リアル”で開催することの意義を強調した。
食の課題解決を図る、革新的製品が随所に
今年のシアル・パリでは22年に引き続き、“Own the change(変化の手綱を握れ)”というスローガンを掲げた。食を取り巻く環境がめまぐるしく変化するなか、その変化の姿をとらえ共有する場にするという、シアル・パリの思いとねらいが込められたものだ。
各展示ゾーンでは、