三島食品の「ゆかり」、脱「ふりかけ依存」で売上アップ、その戦略とは
生鮮とのコラボ提案「ゆかりをこんな風に使えるなんて」
「メイン食材販売支援プログラム」の方針が決まったのはコロナ禍の2021年。「ゆかり」をメーン食材の味付けに使ってもらえるような提案をしながら、各スーパーマーケットの生鮮品の売上アップに貢献できる仕組みを考えた。目玉となるのが、生鮮品と「ゆかり」のコラボメニュー集だ。メニュー集の見た目、内容にも工夫が詰まっている。
「『ゆかり』のパッケージと同じサイズ、デザインで印刷し、お客さまが『ゆかり』を手に取ると『実はメニュー集だった』という仕掛けになっている。『ゆかり』を活用した50種類のメニューが載っており、『基本メニューバージョン』のほか、『おつまみ用バージョン』『子ども向けバージョン』の3種類を用意するなど、家族全員が楽しめる内容を考えた」
店頭でのイベントを開始したのは、2023年の7月。
「夏場は、魚介コーナーではタコ、野菜売場ではきゅうりがよく売れる傾向にある。そこで、タコときゅうりを『ゆかり』で和えれば1品が完成するという簡単なアレンジメニューを打ち出した」
結果、とにかく手軽な点が好評を博した。「これまで『ゆかり』をこんな風に使うことは想像していなかった」との反応が多く挙がり、肉、魚、きゅうり以外の野菜の売場にもPOPを置き、「ゆかり」とのクロス販売を進めていった。
一方で、食品メーカー各社は、こぞってスーパーマーケットでの販促施策を企画し展開しており、イベントを実施するにも競争が激しい。そんな中、同社の「メイン食材販売支援プログラム」のもう一つの目玉は「お店全体をインパクトのある『ゆかり』の紫色に染める」ことだ。
吉本氏が「紫色のエプロンから、ポンチョ、帽子、うちわ、バルーン、のぼり等100種類にものぼる『ゆかり』の紫色のグッズを用意し、大々的なイベントにして楽しめる仕掛けを用意している」と話す通り、お店に入った瞬間、思わず店内を見渡してしまうような特別感のある演出が特徴となっている。
「メイン食材販売支援プログラム」の実施は、これまでに12企業、100店舗以上にのぼる。
「店舗の感想や意見を聞きながら、新たなグッズも増やし、お客さまに楽しんでもらえるイベントを目指して進化させている」