カレー市場、ロングセラーブランドが市場を支え堅調に推移

石山 真紀(フリーライター・売場研究家)
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【図表1】ルウカレーカテゴリーの金額PI月別推移

有名店の味わいをレトルトカレーで手軽に

 一方、レトルトカレーカテゴリーの22年6月から23年5月の期間通算の金額PIは前年同期比0.6%増の4312円、数量PIは同0.9%減の22.62となった。

 世帯人数の減少やコロナ禍でのランチ需要等を背景に、伸長が続いていた同カテゴリーだが月別の推移を見ても前年割れの月は5カ月、前年超えの月が7カ月と、それまでの勢いが鈍化したことが見て取れる【図表2】。

【図表2】レトルトカレーカテゴリーの金額PI月別推移

 辛味に特化した商品やご当地カレー、有名店監修の本格派などバラエティー感のある品揃えはレトルトカレーの魅力のひとつだろう。

 エスビー食品では名店の味わいが手軽に楽しめると好評の「噂の名店」シリーズが発売10周年を迎えた。今春は既存の9アイテムをリフレッシュ。さらに新商品の〈香味スパイスカレーお店の中辛〉と、〈骨付きチキンカレー鮮烈な辛口〉を発売した。またブランドサイトをリニューアルし、カレー好きに向けたスペシャルコンテンツや監修店のインタビューなどを掲載している。

 さらに夏季限定商品として35種類のスパイスとハーブ、7種類の厳選した唐辛子の辛さが楽しめる「ゴールデンカレーレトルト バリ辛」を発売。同品は今年で9年目を迎え、辛党のカレーファンから高い支持を得ている。

 ハウス食品では以前から要望の高かった「バーモントカレー」ブランドのレトルトタイプを発売。カレールウとともに60周年のプロモーションを展開していく。

 また、だしの旨みとスパイスの香りが特徴の本格的なカレーうどんを、電子レンジで手軽に調理できる、カレー人気店「SPICYCURRY魯珈」監修のカレーうどん専用ルウ「香るごちそう」シリーズを新発売〈。スパイシーカレーうどんの素〉と〈クリーミーカレーうどんの素〉の2品を展開する。

 カレーは日本人の食生活に欠かせないメニューであり、ルウカレー、レトルトカレー、それぞれに特性がある。近年は簡便性の高いレトルトカレーを利用する生活者が増えていたが、コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことで手づくりする人も増え、ルウカレーとともにカレー用の煮込み調味料なども好調に推移している。

 ルウカレーは材料となる野菜や肉類など生鮮品との相性もよく、買上点数の向上につながる商材として食品スーパーには欠かせないカテゴリーだ。店頭でもレシピの紹介や生鮮売場での関連販売など、来店客の気付きとなるプロモーションを仕掛け、カレーカテゴリー全体の活性化につなげていきたいところだ。

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