食品スーパーで、「総菜の売上」だけがどんどん伸び続ける納得の理由とは

2022/08/24 05:55
宮川耕平(日本食糧新聞社)
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2022年の上半期、食品スーパーの既存店が総じて前年実績を越えない中、総菜部門は伸長しました。粗利を稼げる部門として店側の期待が高まる総菜は、消費者の需要もしっかり伴っています。今回はその総菜をテーマに、なぜ伸び続けるのかについて考えてみたいと思います。

 家庭的なメニューを彩りよく仕上げた夏野菜の揚げ浸し総菜(東武ストア フレッシュ&クイック朝霞台店)
家庭的なメニューを彩りよく仕上げた夏野菜の揚げ浸し総菜(東武ストア フレッシュ&クイック朝霞台店)

総菜だけが伸び続ける理由は・・・

 総菜だけが伸び続けるのはなぜか? 食品スーパーの中で、この部門だけは他の業種からも需要を奪える部門だからではないでしょうか。

 食品スーパーで扱う商材は、内食用途が基本です。購入した商品は自宅にストックされ、段階的に消費する商材がほとんどです。この内食ニーズは、人口的にも世帯構成の変化をみても増えようがありません。胃袋の数が減り、自宅で調理する機会も減り続けています。コロナ初年の一時期は高まりましたが、やがて「コロナ疲れ」と言われ始め、それから今に至るまで中食や外食への再流出が続いています。

 内食主体の食品スーパーにあって、総菜は「中食の範ちゅう」にあります。ストックせずに消費するのも特色で、チルドや冷凍の中食商材との違いはそこにあります。作りたくもなければ食べに行きたくもないとき、1回食べ切りのスタイルで購入するものです。外食からも内食からも需要が流れてきて、食事の機会ごとに商機がある。それなら、総菜の魅力が高まるほど需要開拓の余地がありそうです。

 家庭料理からの中食シフトを試みた最近の例として、東武ストアの夏季限定メニュー「香川県産ナスと6種の彩り野菜の揚げ浸し」は印象的でした。7月オープンのフレッシュ&クイック朝霞台店(埼玉県朝霞市)の取材時、土金信彦社長は「ナスは夏の時期が最高においしい。そのナスを使って、総菜でも季節感を表現したかった」と話されました。夏ナス、なるほど。しかし嫁に食わすなとも言われる秋ナスは? と確認すると、「あれはまた別のものだけど、一番は夏」だそうです。

 ナスの素材は青果部門のものを使用し、カボチャやトマト、オクラなどを加えることで彩りよく仕上げています。また、同時期に展開が始まった「くるみ太巻き」は、家庭的な味でありながら、あまり例のないメニューだと思いました(持ち帰りやすかったので実際に食べたうえでの感想)。こちらは新潟の郷土料理をヒントにしたそうです。

東武ストアの「くるみ太巻き」。何気ないけど、また食べたくなる
東武ストアの「くるみ太巻き」。何気ないけど、また食べたくなる

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