飲み切りサイズの手頃感で女性・シニア層を獲得、コカ・コーラの販売戦略とは?

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コカコーラ社は昨今の社会変化を背景に以前より展開していた160ml以下の缶、350ml以下のPETボトルを改めてカテゴライズし販売を強化。通常サイズでは量が多いと感じている女性やシニア層に向け、購入しやすい適量サイズとして訴求する。

まとめ買いにも最適「アフォーダブル」の魅力

 昨今の社会情勢の変化から、消費者の飲料に対するニーズは変化している。コカコーラ社では以前から製品展開している160ml以下の缶、350ml以下のPETボトルを「アフォーダブル」サイズと位置づけ、2023年より販売を強化している。

 同サイズの訴求を始めたきっかけは、コロナ禍以降続く食品価格高騰の影響だ。値上げによって消費者の生活防衛意識が高まり、スーパーマーケットの客数が伸び悩む中、新たな打ち手として提案したのが、ミニ缶・ミニPETボトルの販促強化だった。

コカ・コーラのミニ缶とミニPET
160ml以下のミニ缶、350ml以下のミニPETボトルによる「アフォーダブル」サイズはとくに女性やシニア層から支持されている

 「アフォーダブル」は直訳すると「おてごろ」という意味だが、コカコーラ社ではこの「アフォーダブル」というワードに対し、3つのベネフィットを捉えている。

 1点目は「買いやすさ・経済性」。特にミニ缶の場合は店頭価格が手に取りやすい価格帯であることから単品だけでなくまとめ買いも期待できる。

山川 達也氏
カスタマー&コマーシャル リーダーシップ
チャネル&ショッパーマーケティング
シニアマネジャー
山川 達也氏

 2点目は「適量・飲み切りサイズ」だ。通常のサイズに対し「量が多く飲み切れない」「開けたてはおいしいけれど徐々に炭酸が抜けてしまう」「途中でぬるくなってほしくない」といった声が女性やシニア層を中心に上がっているが、ミニサイズの場合、こうした不満点の解消につながる。

 3点目が「持ち運びのしやすさ・サイズ感」だ。特にコロナ禍以降、リフレッシュや気分転換の目的で家庭内でのちょこちょこ消費が増えており、手頃なサイズ感の「アフォーダブル」はそうしたニーズに合致。またサイズが小さいため持ち運びにも重宝する。

専用什器での多箇所展開で、ついで買いを促進

 コカコーラ社では22年に首都圏のスーパーマーケットで「アフォーダブル」販促のパイロットテストを実施。1回あたり購入点数は3.2本と高く、バスケット単価アップへの貢献が実証された。また女性とシニア層の購入率は飲料カテゴリー平均よりも高く、SM利用コア層から支持を得られた。

 23年はミニ缶とミニPETボトルを対象に、まとめ買いを訴求するクローズドプロモーションを年3回実施。消費者への購買促進だけでなく、同サイズを新たなカテゴリーとしてバイヤーに再認識してもらうきっかけにもなった。コカコーラ社160ml缶製品の直近3年平均成長率(インテージSRI+®推計販売金額)は2ケタと伸長しており、「アフォーダブル」の販促がマーケットの拡大に寄与したことがわかる。

 同社では24年も「アフォーダブル」の販促に注力する。これまでの販売動向からミニ缶・ミニPETボトルは手に取りやすい価格帯であるため衝動買い率が高いことがわかっている。通常、「アフォーダブル」の商品は常温定番棚に陳列されているが、同社ではついで買いを促すため、自動前出しするコロコロラックやジャンブル什器等、ほかの売場でアウト展開しやすいオリジナル什器を開発した。無機質になりがちな常温売場にワクワク感を演出する体験型什器も提案する。

 さらに昨年好評だったクローズドキャンペーンも規模を拡大し年2回の実施を予定しており、トライアルおよびまとめ買いを促進していく考えだ。

体験型什器
コロコロラックやジャンブル什器などアウト展開しやすい販促物を開発。またガチャコロのように、ボタンを押すとコロコロと商品が落ち出る体験型什器を提案

※インテージSRI+®推計販売金額、2021年1月~2023年12月、食品スーパー/ドラッグストア/ディスカウントストア

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