ターゲットとも戦略提携!米アルタ・ビューティが急成長する3つの仕掛けとは

解説・文:松本 渉(ローランド・ベルガー パートナー)、藤後 順己(ローランド・ベルガーシニアコンサルタント)
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22年度の売上高は前年度から18%伸長

 化粧品・美容業界は新型コロナウイルスの流行で大打撃を受けたが、それをものともせず、売上拡大を続けるビューティー小売チェーンがある。アルタ・ビューティ(Ulta Beauty:以下、アルタ)だ。

 同社は1990年に米イリノイ州で創業し、米国では2023年4月時点で1359店舗を有する。“All Things Beauty, AllIn One Place(美に関するすべてを1つの場所で)”をコンセプトに掲げ、化粧品、フレグランス、ヘアケア、スキンケア関連商品の取り扱いに加え、美容サロンも展開している。

 競合企業としてはセフォラ(Sephora)が挙げられるが、同社が都市部を中心に高価格帯の商品展開を強化しているのに対し、アルタは郊外を中心とした店舗網で、低・中価格帯を含めた幅広い商品ラインアップを展開しすみ分けを図っている。

図表●グローバル市場シェア推移 アルタの成長は近年著しく、とくに09年度からはほぼ右肩上がりで売上伸長を続け、直近の22年度の売上高は対前年度比約18%増の103億ドルと、飛ぶ鳥を落とす勢いである。既存店1店舗当たり売上高で見ても1年間で15%以上の成長を実現するなど、その集客力の高さは特筆すべきものがあり、グローバルでトップシェアを誇るセフォラの座を脅かす存在となっている(図表)。

 では、急速にオンライン化が進む化粧品小売業界において、なぜリアル店舗中心のアルタがこれほどまでの大躍進を遂げられたのであろうか。背景には、オンライン・オフライン双方における「3つの戦略的仕掛け」がある。

米ターゲットと提携し、ショップ・イン・ショップ出店

 1つめの仕掛けとして挙げられるのは、

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