食品EC、デリバリー隆盛下で、小売業ラストワンマイルの進路が問われる理由
食品ECにおけるサプライチェーンのコスト全体のうち、実に41%がラストマイル配達にかかる費用だという。コンサルティング会社のキャップジェミニが欧米の消費者および食品産業を調査したレポート「ラストマイル配達の課題」で発表した数字だ。同レポートは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生する前の2019年刊行である。現在、その数字はさらに上昇しているかもしれない。
ラストマイル配達の問題は、COVID-19によって以前にも増して注目されるようになった。1時間以内や2時間以内といった短時間配達の分野には、小売企業独自の仕組み以外に、スタートアップ企業の参入が目立つようになっている。なかにはCOVID-19を機に一気に勢力を拡大しようと企てる企業も出てきた。
欧州では、食品・日用品を専門に短時間配達する企業よりも、レストランの料理の配達を専業とするフード・デリバリー企業がサービス領域を拡大し、食品・日用品の短時間配達にも乗り出したケースが多い。
たとえば、グロヴォ(Glovo)は、レストラン以外に、さまざまな小売店と提携して食品や医薬品、生花など幅広い商品の短時間配達を行う。本社を置くスペインのバルセロナでは、カルフール(Carrefour)やディア(DIA)といった大手小売チェーンをはじめ、青果店、オーガニック食品店などと提携する。また、自社のダークストア「スーパー・グロヴォ」への注文も受け付けている。
欧州に進出したウーバー・イーツ(Uber Eats)は、フランスではカルフール、スペインではコンビニエンスストアのガルプ(Galp)、英国では食料品店チェーンのコストカッター(Costcutter)や大手スーパーマーケット(SM)のアズダ(Asda)と提携した。
英国に本社を置くデリバルー(Deliveroo)は、ハードディスカウンターのアルディ(Aldi)のほか、大手SMのセインズベリー(Sainsbury’s)やモリソンズ(Morrisons)、高級SMのウェイトローズ(Waitrose)と提携を果たした。
フード・デリバリーの将来成長性は未だ不透明
COVID-19感染拡大によって、
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