未曾有のインフレが促す、 対アマゾンの協働型物流効率化の動きとは
米国でインフレが深刻化している。米労働局のデータによると6月の消費者物価指数は前年同月から9.1%増加、ここ40年で最高を記録した。カテゴリー別ではガソリンが同59.9%増、食品が同10.4%増と個人の生活を直撃すると同時に、エネルギー、電気関連なども軒並み上昇しており、企業活動にも大きな影響を及ぼしている。そうしたなか、コロナ特需で売上好調だった大手小売企業では増収・減益傾向が顕著となり、さまざまなコスト削減の動きが出てきている。
コスト高騰が小売各社の利益を圧迫
主要小売企業の過去1年の業績推移を対前年成長率でみると(図表)、ウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)はコロナ特需による売上増の傾向が落ち着いてきた様子がうかがえる。アマゾン(Amazon.com)でさえ2021年第4四半期には1ケタ成長にとどまっている。
一方、売上原価の増減率はウォルマート、アマゾンは売上高の伸びにほぼ比例しているが、ターゲットは毎期、売上成長を上回って推移しており、22年第1四半期でその差がとくに顕著だ。営業経費は3社の中ではアマゾンが第2四半期から第4四半期まで3割前後前年より増加しており、22年第1四半期でようやく1ケタ台に落ち着いた。
営業利益、当期純利益を見ると、3社とも22年第1四半期でマイナス、とくにアマゾンとターゲットは50%近い減益幅となっている。これらの数値と株主説明会での説明から考察すると、非常に大雑把な言い方をするなら、「売上はまだ伸びているのにもかかわらず、ガソリンその他の価格高騰が利益面を大きく圧迫し始めている」ということになる。
インフレによるコスト増について