楽天の24年1~6月期赤字も携帯事業に復調の兆し EC、金融サービスは好調

北野 裕子(ダイヤモンド・チェーンストア編集部)
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楽天グループ(東京都/三木谷浩史会長兼社長)は202412月期の中間決算を発表した。売上高は対前年同期比8.0%増の1509億円。純損失は759億円で中間期としては5期連続の赤字となったが、「楽天モバイル」を展開する「モバイル」事業で業績が回復傾向にあることなどから、赤字幅は前年同期の1399億円から大幅に減少した。

東京都の二子玉川に位置する楽天グループ株式会社の本社「楽天クリムゾンハウス」

国内EC、金融サービス好調

 セグメント別にみると、主力の「楽天市場」を展開する「インターネットサービス」、銀行、証券、ペイメントなどからなる「フィンテック」が増収増益を果たし、「モバイル」は増収だったものの赤字だった。第二四半期累計の売上収益は、インターネットサービスが5895億円(対前年同期比4.2%増)、フィンテックが3961億円(同13.5%)、モバイルが1948億円(同10.4%)。セグメント利益はインターネットサービスが32億円(同23.3%増)、フィンテック81億円(同36.7%増)。モバイルは132億円の損失だったが、前年同期の185億円から43億円減少した。

 好調のインターネットサービスは、楽天市場や旅行予約サービス「楽天トラベル」などを含む国内ECの流通総額が回復していることが増収増益に寄与した。なかでも海外事業において、無料通話アプリ「Rakuten Viver」や電子書籍「Rakuten Kobo」などコンテンツサービスの利用者が堅調に推移した。

また、西友(東京都/大久保恒夫社長)と共同運営していた「楽天西友ネットスーパー」の完全子会社化により、ネットスーパーの収益性も改善されているという。楽天西友ネットスーパーは88日に、運営会社の商号を「楽天マート」に変更。925日から「楽天マート」として、倉庫型ネットスーパー事業を始めることが発表されている。

フィンテックも「楽天カード」や「楽天銀行」「楽天証券」など展開する各種サービスにおいて「すべての事業でとても好調」(三木谷会長兼社長)。楽天カードは会員基盤、客単価の拡大でショッピングの取扱高が対前年同期比13.9%増の59000億円となりセグメントの増収に寄与した。「楽天証券」の口座数は6月末時点で同22.7%増の1133万口座まで増えたほか、顧客基盤の拡大による各種取引が好調で過去最高収益になったという。また、キャッシュレス決済サービス「楽天ペイ」など各種サービスも増収増益を果たしている。

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