[東京 30日 ロイター] – 総務省が30日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は2.7%と、前月から0.1ポイント改善した。今年3月以来7カ月ぶりの低水準。事業者側の都合による離職が減って失業者が減少した。一方、厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍と、前月に比べて0.01ポイント低下した。
ロイターがまとめた事前予測調査は2.8%。今回の調査期間は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などが全面的に解除されていた。
総務省によると、男性の失業率は2.8%、女性は2.5%とそれぞれ前月から0.1ポイント低下した。
就業者数(実数)は6659万人と前年同月に比べて35万人減少し、2カ月連続で減った。産業別では「宿泊業、飲食サービス業」が44万人、「卸売業、小売業」が32万人、「生活関連サービス業、娯楽業」が26万人それぞれ減った。昨年10月に政府の「GoToキャンペーン」などで対面型サービスの需要が喚起されていた反動が出た。
一方、「宿泊業、飲食サービス業」の休業者は前月から減少しており、緊急事態宣言等の解除に伴う変化もみられた。
完全失業者数(同)は183万人と同32万人減少し、4カ月連続で減った。求職理由別では「勤め先や事業の都合による離職」が14万人減少。「自発的な離職(自己都合)」は10万人の減少、「新たに求職」が5万人の増加となった。
求職活動が活発化
一方、厚労省が発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍と、前月に比べて0.01ポイント低下した。
有効求人数(同)が前月に比べて0.5%、有効求職者数(同)が0.6%それぞれ増加した。新型コロナウイルスの新規感染者の減少で感染リスクに対する不安が軽減し、求職活動が活発化する動きがみられた。緊急事態宣言の解除に伴って、より賃金や労働環境などが良い条件で働きたい人の求職活動の再開にもつながったという。
有効求人倍率は仕事を探している求職者1人当たり、企業から何件の求人があるかを示す。求人、求職はともに3カ月間有効で、今回は21年8、9、10月の動きが反映されたものとなる。
10月の新規求人数(原数値)は前年同月比8.7%増となった。これを産業別でみると、製造業が同35.9%増、教育、学習支援業が同12.8%増、情報通信業が同11.1%増となった。