街角景気、緊急事態宣言解除で6月は3カ月ぶり改善、判断を上方修正
[東京 8日 ロイター] – 内閣府が8日に発表した6月の景気ウオッチャー調査によると、景気の現状判断DIは47.6となり、3カ月ぶりに改善した。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため一部で発令されていた緊急事態宣言が解除されたことや、ワクチン接種の進展などにより、家計動向、企業動向、雇用関連の全てのDIが改善した。
内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残るものの、持ち直している」に上方修正した。上方修正は3月調査分以来。
また、景気の先行き判断DIは、2カ月連続で改善して52.4となり、2017年10月以来の水準となった。背景には、ワクチン接種の広がりに伴う景気回復への期待があるとみられる。ただ、地域別でみると、東京都の先行き判断DIは前月から悪化しており、感染の再拡大が影響したとみられる。
内閣府は、 先行きに関しては「感染症の動向を懸念しつつも、ワクチン接種の進展などによって持ち直しが続くとみている」として前月の表現から修正した。
調査期間は6月25日から30日まで。
東京都は感染再拡大を受けて昨年来4度目となる緊急事態宣言が来月22日まで適用され、首都圏3県と大阪府はまん延防止措置が延長となる見込みだが、6月分調査には反映されていない。
現状の家計動向関連では「緊急事態宣言の解除により営業時間が延長されたため、客も外出して買い物や食事などを楽しんでいる状況で、売り上げの増加につながっている」(近畿=百貨店)などと、ビジネス環境が改善している様子がうかがえるコメントがあった。一方、宣言が延長された沖縄県では「宿泊や宴会のキャンセルが増えている。前年同期よりも来客数が少なく、売り上げも悪い」(沖縄=観光ホテル)といった声もあり、地域差が見られる。
また、企業動向関連では、宣言解除により「前月と比較すると、再開した飲食店もあり、日常が戻りつつあるように感じる。それに伴い、消費活動も回復傾向にある」と話す一方、「全業種での回復とは言えない」と指摘する向きもいた。(東海=金融業)
先行きについては「ワクチン接種の広がりにより、消費者の安心感が醸成されることで来客数が増加することを期待している」(北海道=家電販店)といったコメントがある一方、「ワクチン接種が進めば好転するかもしれないが、感染拡大により再度悪化するという一進一退の状態が、一定期間は続くと思う」(四国=コンビニ)といった不安の声もあった。