ソニー、今期26.7%の営業減益に スマホ向けセンサーがブレーキ
[東京 4日 ロイター] – ソニーは4日、2021年3月期の連結営業利益(米国基準)が前年比26.7%減の6200億円になりそうだと発表した。新型コロナウイルスの影響でスマートフォン市場が変調、そこに供給している主力のイメージセンサーが減速している。十時裕樹副社長兼CFOは「変化に適応し、危機を機会と捉えていく」と、戦略の調整を進める考えを示した。
売上高予想は同0.5%増の8兆3000億円と、ほぼ前年並みを予想する。営業利益はゲームと金融が増益となる一方、半導体、電機、映画、音楽の各分野が減益となって業績の重しになる見込み。営業利益と営業費用に含まれる構造改革費用は前年並みの250億円を想定する。
主力のイメージセンサーは、世界経済の悪化でスマートフォン向けにブレーキがかかった。主要スマホメーカーが販売台数を落とす一方、売れ筋も高位から中・低位機種にシフトしつつあるという。こうした環境変化は来期も継続するとみており、インターネットを通じて会見した十時CFOは「戦略調整の必要がある」と述べた。
デジタルカメラ向けも「3年分程度の市場縮小が1年で起こる」(十時氏)と想定しているという。
需要の変調に対応するため、ソニーはイメージセンサーの設備投資を抑制することを決めた。20年度までの3カ年の累積設備投資額の見通しは、7000億円から500億円減の6500億円とする。21年度以降の投資計画も見直しを進める。研究開発はテーマを選別したり、優先順位を再検討する。
プレイステーション5の生産順調
一方、ゲームは「巣ごもり需要」が7―9月期以降にある程度落ち着くと想定するものの、ソフト、ハードとも大幅な販売増を見込む。しかし、年末商戦に発売する新型ゲーム機「プレイステーション5」の導入に関わるコスト増で、営業利益は前年並みになりそうだとした。PS5の生産は順調で、ゲームソフトの開発も大きな問題は出ていないという。
金融事業は、9月2日にソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)が完全子会社となる前提での純利益の増加を織り込んだ。少数株主持分の取り込みと税効果で、年間400―500億円程度の純利益増加の効果が見込まれるという。今期の純利益の予想は同12.4%減の5100億円とした。
中間配当は1株当たり25円とし、5円増配を見込む。期末配当予想は未定だが「長期安定的に増配していく方針」(十時CFO)とした。
ソニーは同日、発行済み株式の1.64%に当たる2000万株・取得総額1000億円を上限に自社株買いをするとも発表した。7―9月期以降に前提とする為替レートは1ドル107円前後、1ユーロ120円前後。ソニーは期初の段階で、通期予想は未定とし「少なくとも3割減」と説明していた。
20年4―6月期の営業利益は新型コロナの影響で前年同期比1.1%減の2283億円だった。投資有価証券評価益の改善があり、純利益は同53.3%増の2333億円だった。巣ごもり需要を捉えたゲームや、広告宣伝費が減った映画が増益だった一方、半導体や音楽は減益、電機は営業赤字となった。