独自決済を導入する前に、「nanaco」と「ワオン」の相互乗り入れをすべき、必然の理由

柳平 孝(いちよし経済研究所)
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「ワオン」と「nanaco」を相互開放することにより得られること

 実は、昨今の大手流通グループにおけるデジタル化・キャシュレス対応をめぐる問題点の本質は『顧客囲い込み手段のポイントカードと、汎用性が求められる決済手段とをごちゃごちゃに考えていて、整理できてない』ことだと筆者は考えている。7&Iだけでなく、イオンにおいても、ポイントカードの「ワオンポイント」、電子マネーの「ワオン」、そしてクレジットカードの「イオンクレジット」があるものの、相互の連動性に乏しく、現実問題として支離滅裂な状況と言っても過言ではないと思われる。

 言い換えれば、流通大手の経営陣は、キャッシュレスをはじめとした表面的な事象に目が囚われていて、コトの本質=「マーケティングのパラダイムシフト」と「汎用性を担保した決済手段の提供」を理解・整理できてないことが最大の問題だということであろう。

 とりあえず、日本を代表する大手流通グループ2社の取り組むべきことは「nanaco」と「ワオン」の相互開放ではなかろうか。当該電子マネー保有者にとって、大幅に汎用性が広がる(=利便性が高まる)はずである。また、両社にとっても、他のグループ店舗で自社カードが利用された場合、相手陣営から利用手数料が入ってくることにもなる。「nanaco」と「ワオン」は、ともに他の交通系電子マネーと同じ非接触ICカード技術方式「FeliCa(フェリカ)をベースにしており、いつでも相互開放可能のはずである。経営トップの理解と経営判断次第ではなかろうか。

 イチョウ並木を散策しながら、そんなことを思う今日この頃である。

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