今までとは違う手法のコミュニケーション、店頭施策で新規ユーザーとの接点を増やす

ダイヤモンド・ホームセンター編集部
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MD FOCUS:常に消費者から学び、独自の研究・開発体制で自社工場生産の強みを徹底的に活かす

ジェックス

観賞魚用品のパイオニアであるジェックスでは、自社工場と自社研究施設の開発能力を背景に、消費者からも販売店からも支持されるモノづくりを続けてきた。同社代表取締役社長・五味宏樹氏に今後の事業の方向性などをお聞きした。

自社で責任が持てる製品供給にこだわる

ジェックス 代表取締役社長・五味宏樹氏(左)、グッドデザイン賞を受賞した「AQUA-U」(右)
ジェックス 代表取締役社長・五味宏樹氏(左)、グッドデザイン賞を受賞した「AQUA-U」(右)

 ジェックスでは、高品質の水槽、照明やろ過システム、エアーポンプなどの開発に継続的に取り組んでいる。

 五味氏は「技術は日々進化しており、消費者のニーズも変わっていきますので、常にチャレンジを続けています。AGC(旭硝子)グループさんの特殊なガラス素材や、ガラスを接着するシリコンについても専業メーカーと共同開発を行うなど、徹底して自社が直接関与する形での開発・製造・供給体制の整備にこだわってきました」と言う。

 こうした努力によって、より見やすいガラスやフレームレス水槽などを実現。結果、国内での水槽カテゴリーシェアは70%を超えるまでに成長した。

 しかし同社の視野にあるのは、実際に使用するペットオーナーだけでなく、販売店への配慮だ。五味氏は「観賞魚用品は美しさだけでなく、高い信頼性が必要です。水と電気という相容れないものを扱う以上、ひとたび製品に問題があれば、水漏れやペットの死亡など、大きな事故につながる可能性があります。こうしたクレームはまず販売店さまの元に届きますので、それを徹底的に防止していきたい」と語る。

 同社では、年間100万台近く出荷する水槽の1個たりとも、クレームの出ない製品として送り出そうという意識が徹底されている。また、インドネシアの自社工場では、さまざまな用品を生産しており、ガラス水槽製造では世界最大級の規模。2003年にISO9001を取得しており、高品質の製品を日本、世界に供給している。またここで生まれる製品には2年から3年間の品質保証が付けられている。

インテリアに溶け込むフレームレス水槽をシリーズ商品化。自社工場で生産する水槽は、AGC(旭硝子)グループの高品質ガラスを採用している
インテリアに溶け込むフレームレス水槽をシリーズ商品化。自社工場で生産する水槽は、AGC(旭硝子)グループの高品質ガラスを採用している

技術開発の進化で観賞魚飼育の敷居を下げ需要拡大につなげる

 同社が昨年発売した「AQUA‐U」は、室内インテリアに適したシンプルなデザイン性に加えて、関連機器をコンパクトに収納することで水槽内を極限まですっきりさせ、レイアウトの自由さを広げた製品。2018年のグッドデザイン賞も受賞している。こうした美しく手軽に扱える新製品の登場は、インテリア水槽の新しい需要創造につながる。

 また五味社長は、「どの産業でも少子高齢化という環境に直面しています。何もしなければ需要は増えていきませんが、たとえばホームセンター店頭で、以前に飼育経験を持つ高齢者の方々に、技術進化で以前よりエアーポンプが静かになり、水質管理も簡単になったということを実感していただく。また、金魚を扱うイベントの開催や“ボトリウム”提案などで、お子さまにも関心を持っていただく。さらに、金魚の画像をInstagramに投稿してもらうキャンペーンなども実施します。こうした多様な努力が重要だと考えています」と語る。

 また同社は、アクアペットの癒やし効果などについての研究を早くから産学共同で推進している。「こうした研究は、直接自社製品の販促につながらなくても、長い目で見て市場全体の活性化につながっていくと信じています」(五味社長)

 

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