1月ロイター企業調査:財政拡大6割が年内継続求める、悪いインフレ懸念する声も
[東京 13日 ロイター] – 1月のロイター企業調査では、日本は財政拡大路線を「2022年いっぱいは続けるべき」との回答が61%と多数を占めた。新型コロナウイルス禍からの景気回復を財政で支えるべきとの考えの一方で、インフレの芽をかぎ取り、財政規律の乱れよる副作用が意識されつつあることも分かった。
調査期間は2021年12月22日から22年1月7日まで。発送社数は502社、回答社数は244社だった。
1月の通常国会で議論が始まる2022年度予算案は、一般会計総額が107兆5964億円(前年度比0.9%増)と10年連続で過去最大を更新した。過去最高となる社会保障関係費や防衛費が総額を膨らませた。
コロナの感染再拡大に備えた5兆円の予備費など、危機対応も支出拡大の大きな要因だが、財政拡大路線を「今すぐ終えるべき」との回答は17%にとどまり、「22年いっぱいは続けるべき」が61%となった。
「財政規律も重要であるが、国民生活の安定、経済回復を優先するべき」(卸売)、「将来に向けての新技術開発に国として支援策を続けないと他国との競争に生き残れない」(紙・パルプ)との声があった。
一方で、「徐々にインフレ傾向が見え隠れしており、現状の継続は経済を混乱させる」(鉄鋼)、「既に放漫財政が維持不能な段階に至っている」(機械)など、増え続ける政府予算への懸念も聞かれた。
悪いインフレを懸念
原材料高やコロナによる供給制約で世界的に物価が上がりつつあり、日本でも11月の全国消費者物価指数は前年同月比0.5%上昇した。携帯電話料金の大幅引き下げがなければ2%の上昇率となった計算だが、今回の調査では、日銀が掲げる2%の物価目標達成には懐疑的であることが分かった。達成予想時期として最も多かった回答は25年以降で32%。達成不可能との回答も26%に上った。
足元の世界的なインフレの流れも「コロナによる一過性のもので終息可能」(機械)、「そもそもインフレ率をコントロールすることには限界がある」(金属)との声があった。「将来不安が払しょくされるのと、雇用・世帯収入の増加がない限り、低価格商品へのニーズが高まり続けるため」(小売)など、低インフレの構造的な問題を指摘する声も聞かれた。
比較的早期の22年や23年に達成可能と回答も決して歓迎すべきものではなく「コストプッシュ型の悪いインフレ」(サービス)や、賃上げなどを伴わない中で原材料高と円安が進む「望まないインフレ」の進行への懸念が複数から示された。
日銀が大量の国債を購入して金利を低く抑える現行の政策については、「止めるに止められない悪循環だが、後になる程ダメージは大きくなる為、早く断ち切るべき」(輸送用機器)との指摘がある一方で、国の借金が膨れ上がっている日本においては、財政破綻を招かないためにも、25年以降も低金利政策は継続すべきとの声も聞かれた。