日本生協連トップが語る「全商品でエシカル、健康、おいしさに対応」の中身とは
コロナ禍が落ち着いてもなお、組合員数を伸ばす生協。しかしインフレによる物価の高騰などにより、生協はさらなる変化を求められている。各生協は今後、どのように持続的な成長を実現していくのか。全国の生協の連合会である日本生活協同組合連合会(東京都:以下、日本生協連)の藤井喜継代表理事事業担当専務に聞いた。
店舗が好調も宅配は足踏み
──全国の地域生協の2023年度の概況について聞かせてください。

東京都出身。1988年に日本生協連入協。
2010年執行役員管理本部長、
13年常務執行役員管理本部長、
15年常務執行役員事業推進担当、
同年常務理事事業担当、
19年1月常務理事 運営・組織担当専務補佐、
同年6月運営・組織担当専務理事、
21年1月事業担当専務理事、同年6月から現職
藤井 ほぼ前年度並みで推移しました。事業別の供給高(商品売上高に相当)は宅配事業が対前年度比0.0%増の2兆904億円、店舗事業が同3.4%増の9465億円と、コロナ禍が明けて店舗利用が伸びた一方で、宅配事業が伸び悩みました。宅配事業は数字で見れば前年並みですが、利用人数が同2.6%減、利用点数が同3.8%減と、課題は多いです。
インフレ下で、総菜や冷凍食品などの即食系の商材は伸びていますが、ナショナルブランド(NB)商品や酒類、雑貨などはドラッグストアや100円ショップにお客を取られている印象です。
──宅配の利用人数が前年度割れとなった要因はなんでしょうか。
藤井 環境要因としては、コロナが5類に移行し外出機会が増え、宅配の利用が減っていることが挙げられます。また、内在的な要因として、組合員の新規加入の推進力が落ちていることが考えられます。コロナ禍で供給が増加した際、営業職員が配達に回るケースが増え、欠員が出ていました。戸別訪問での営業ができない期間も長かったため、営業力が落ちてしまっていると感じています。
──店舗が好調な要因についてはどう見ていますか。
藤井 買い上げ点数は低下したものの、利用人数が同1.1%増、インフレによる1点単価の上昇で1人当たりの利用単価が同1.8%増と伸長したことが大きな要因です。店舗数自体は減少しているものの、前年度は新店・スクラップ&ビルドで新たに16店をオープンしたことも店舗事業の増収に寄与しています。
また、各生協では、来店動機の創出に取り組んでいます。みやぎ生協・コープふくしまの一部店舗内に設置されている「MoreCoop(モアコープ)」では、案内係のスタッフが来店した組合員をサポートするほか、宅配の商品を店舗で受け取ることができます。受け取りのついでに店舗で買い物をしてもらうなど、来店機会の獲得につながっています。また、組合員がお店に来たくなるような子供・高齢者向けのイベントを実施し、地域との接点を増やしています。
全商品でエシカル、健康、おいしさに対応
──新規加入の推進活動はどのように進めていますか。
藤井 子育てが始まるタイミングでのアプローチは多くの地域生協が行っています。今、ターゲットとしているのは子育てが始まる前の20代後半です。
未加入の若年層に向けたお試しサービスとしては、
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