イオンも新たな再編! イオンモール、イオンディライト完全子会社化の背景とは
イオン(千葉県/吉田昭夫社長)は2月28日、ショッピングモールの総合ディベロッパーのイオンモール(千葉県/大野惠司社長)、設備の管理・警備事業などを行うイオンディライト(東京都/濵田和成社長)の連結子会社2社を完全子会社化する方針を固め、基本合意書を締結したことを発表した。
同日に開かれた会見では、3社の社長が揃い、完全子会社化までのスケジュールを説明。決断に至るまでの経緯と今後の戦略について語った。
株式交換、TOBで7月までに新体制へ
イオンモールは、適正評価手続き(デューデリジェンス)および第三者機関による算定結果を踏まえたうえで株式交換比率を決定し、7月までにイオンとの株式交換を完了する。イオンディライトについては1株当たり5400円で、3月3日~4月24日に株式公開買い付け(TOB)を実施し、イオンが全株式を取得する。両社はいずれもイオンの完全子会社となり、上場廃止となる見通しだ。

両社の業績はいずれも好調だ。2025年2月期第3四半期の連結業績は、イオンモールが営業収益3327億円(対前年同期比6.0%増)と第3四半期累計では過去最高を更新。営業利益は381億円(同11.7%増)と2ケタの伸びを見せている。イオンディライトも営業収益2533億円(同4.7%増)、営業利益118億円(同9.2%増)と増収増益となっている。
業績好調の2社を完全子会社化するねらいについて、イオンの吉田社長は「今後の市場環境を踏まえると、グループのリソースを2社(イオンモールとイオンディライト)に当て、スピードを上げることが重要な局面だった。ほかの事業会社について、完全子会社化の検討が進むわけではない」と説明する。
吉田社長の言葉が示すとおり、今回の完全子会社化の目的は2社の経営判断を加速させ、各事業会社が連携を強化することにある。さらに、事業の内製化などで新たな事業機会を創出。親子上場の解消を通じて組織機能の重複を解消するなど、グループ全体で収益の底上げを図る。
UBS証券でシニアアナリスト/コンシューマー・セクター ジャパン・ヘッドを務める風早隆弘氏は一連のグループ企業再編について、「親子上場について、東京証券取引所が意義の開示を当該企業に要請するといった動きがある」と前置きし、「2社の完全子会社化による親子上場の解消が、『自主自立を基本として成長する』というイオングループのポリシーが転換するきっかけになるとすると大きな変化だ」と指摘する。
グループメリットを生かす!再編後の2社の戦略は?
イオンモールの事業環境について、吉田社長は「(建築基準法が改正された)00年と比較すると、新店の建設コストは3倍に高騰し、新規出店の見直しが迫られるなど、事業環境が変化している」とし、「イオンモールが開発してきた敷地規模3万~4万坪、駐車台数3000~4000台の郊外型ショッピングセンター(SC)というフォーマットは、将来どこまで伸びるか不透明な部分がある」と分析する。
また、