怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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台湾事業でみられた新フォーマットの予兆

 そうした取り組みの副作用として考えられるのが、オペレーションの複雑化に伴うコスト増、効率低下だ。きめ細かなMDは現場に負荷がかかる。負荷を相殺するためには、いっそう高い粗利益率を求める必要がある。

 つまりSPA化は必然とも言えるわけだ。従来よりも豪快な低価格が失われ、「質」の訴求にシフトしていくというのも納得できるが、長期的にロピアの強さ、「ロピアらしさ」に影を落とすのも懸念される。

 だが一方で、そうした動きを通じて、ロピアが自社の成長ステージに合わせてビジネスモデルの進化・刷新を図っていると見ることもできる。海外事業を例に取ると、ロピアでは台湾に5店舗を展開している。日本と異なり、台湾は家庭では料理をせず外食が中心の食文化。こうした地域特性に対応し、台湾の店舗では、飲食業態を併設するなど、日本にはない新たな売場づくりを実践し、多くのお客から支持を集めている。

台湾・新北市にオープンした「ロピア新北中和店」
早くも台湾5店舗体制となったロピア。台湾では飲食と融合した新たな店づくりに挑戦しているという。写真は台湾・新北市にオープンした「ロピア新北中和店」

 このような対応ができるのも、同社が近年M&A(合併・買収)などを通じて、食の先端のフィールドへのリーチを続けてきたからこそだ。

 外食の先端フィールドをロピアに移植し、新たなフォーマットをつくり上げたと言えるだろう。そういった意味では、ロピアは高いビジネスモデル調整力、フォーマット開発力を持つ。そして、日本のルーラルエリアでみられた“変化”も、さらなる成長のための打ち手の一つであり、副作用は承知のうえで、より大きな果実を得ようとしている、ということではないだろうか。

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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