利益700億円超を組合員に還元!コープさっぽろが学ぶ先端生協の戦略とは
大見英明理事長以下、コープさっぽろ(北海道)の幹部が訪れ、学んでいる生協が海外にある。フィンランドコープ(Sグループ)だ。北海道とほぼ同じ人口を抱えるフィンランドは高齢化など課題も多く、課題解決の「事業化」で成長を進める国内生協にとって大きなヒントとなるだけでなく、フィンランド最大手小売として高い収益性を誇る同生協は、一般小売企業から見ても事業戦略上、大いに参考になる。
売上高2兆円超え!フィンランドコープとは
北欧フィンランドは、日本よりもやや小さい338万8000㎢の国土に約560万3800人の人口を擁する(23年12月末時点)。人口密度は日本の約20分の1で、北部には人口希薄地域があり、都市部への人口集中や地方の高齢化など、日本と共通する課題も抱えている。
Sグループ(S-ryhmä)は、フィンランド国内の19の地域生協とこれらが出資するSOK(フィンランド消費協同組合中央会)で構成されるフィンランドの生活協同組合だ。
SOKがSグループの商品政策(MD)やサプライチェーンマネジメント、マーケティングなどを担う一方、地域生協は各地域での販売活動に専念。ハイパーマーケット(HM)「プリスマ(Prisma)」92店、食品スーパー(SM)「Sマーケット(S-Market)」453店、小型店「サーレ(Sale)」297店、都心型小型店「アレパ(Alepa)」129店を運営する食品小売事業を中心に、百貨店(DP)「ソコス(Sokos)」やガソリンスタンド「ABC」、ホテル、レストランなど、フィンランド全土で計2007店を展開している(2023年12月末時点)。
Sグループの組合員数は257万7010人で、世帯加入率は84%と極めて高い(23年度末時点)。近年、若年層の取り込みにも注力し、23年度には11万人以上が新規に加入した。組合員証「S-Etukortti(Sエトコルティ)」の発行枚数は400万枚に達している。
23年度の売上高は対前期比5.5%増の142億800万ユーロ(約2兆2848億円:1ユーロ=160円で換算)で、3期連続で増収となった。売上高の7割超を占める主力のスーパーマーケット事業は、フィンランド最大の食品小売業だ。市場シェアは48.3%に上り、業界2位のKグループ(K-ryhmä)を引き離している。営業利益ベースでは対前期比37.5%増となる4億4700万ユーロ(約715億円:同)を稼ぎ出している。
高まる価格志向に対応、値下げで支持集める
世界的なインフレによって、フィンランドでも消費者の価格志向が高まっている。Sグループのアンケート調査では、フィンランドの消費者の61%が「食品の価格を気にしている」と回答した。
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