コープこうべ、宅配軸にした事業構造改革の成果
関西エリア最大の地域生協である生活協同組合コープこうべ(兵庫県/岩山利久組合長理事:以下、コープこうべ)。同組合は全体の供給高に占める店舗事業の割合が全国でも高く、宅配と店舗事業の両輪で事業を展開してきたが、今後宅配を軸にした事業構造への移行を推進していく考えだ。また、高齢組合員の見守りなど地域貢献にも取り組むことで、“生協らしさ”をいっそう追求していく。
宅配を軸にした事業構造へ転換
コープこうべの2023年度全体供給高(商品売上高に相当)は、対前年度比0.4%増の2457億円、経常剰余金(経常利益に相当)は同67.2%増の53億円で、期初計画していた14億8000万円を大幅に上回った。商品の単価アップなどによる売上総利益率の上昇や、政府からの電気・ガス料金に対する支援などが奏功したかたちだ。
事業別の供給高は、店舗事業が同1.5%増の1158億円、宅配事業は同0.1%減の1242億円。宅配事業は前年度を下回ったものの、新型コロナウイルスの感染拡大前である20年3月期に比べると12%増と高い利用水準を維持している。コープこうべの岩山利久組合長理事は「宅配事業においては、組合員の利用頻度が増加している。コロナ禍以降新たな生活様式が定着し、宅配で買物を賄う組合員が一定数生まれているためだ」とその要因を推測した。
こうしたなか、コープこうべは宅配を軸とした事業構造への移行を推進している。なかでも力を入れるのが、毎週決まった曜日・時間帯に組合員の自宅まで注文商品を届ける個人宅配(以下、個配)の強化だ。かつて生協でスタンダードだった協同購入に代わり、コープこうべの主力事業となっている。とくにコロナ禍以降、グループでの協同購入を行っていた組合員が個配に移行するケースが増加し、個配の構成比が微増した。
また、個配の利用頻度(カタログを配布した世帯数に対する利用者数)は約87%と、協同購入の約83%と比較して高い。岩山氏は「利用手数料のかからない協同購入と違い、個配は商品を注文しない週でも利用料金が発生するため、利用頻度がおのずと上がる」と説明する。コープこうべは今後も個配の利用が伸長していくと予想しており、よりいっそう注力していく考えだ。
宅配事業の基盤を固める
宅配事業に注力するにあたっては、宅配インフラの強化に取り組んでいる。まず、配送拠点の再整備だ。22年度には「見津が丘冷凍集配センター」(兵庫県神戸市)を新設。続く23年度には「魚崎浜要冷集配センター」(同)を改修した。これらの新設・改修により、宅配における冷凍・冷蔵商品・青果・パンの取扱数は730SKUから1340SKUに拡大。約54万世帯への訪問が可能になった。
さらに、
生協の時代! の新着記事
-
2024/10/31
上位10生協中8生協が2ケタ増益!23年度生協経営指標ランキング -
2024/10/31
利益700億円超を組合員に還元!コープさっぽろが学ぶ先端生協の戦略とは -
2024/10/31
日本生協連トップが語る「全商品でエシカル、健康、おいしさに対応」の中身とは -
2024/10/30
人口減の低成長時代に生協が取り組む「物流再編」の中身とは -
2024/10/30
消費者調査、もっとも利用された生協宅配・ネットスーパーベスト10とは -
2024/10/29
京都生協、旗艦店建て替えで30代客が3割増!その取り組みとは
この特集の一覧はこちら [13記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-13オーケー2号店の全容と至近競合するライフ、イズミヤ旗艦店の戦術は?
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2020-02-20#11 コープさっぽろ救済を通じ「日本の生協の危機」を回避した日本生協連の賭け
- 2024-10-25物言う株主時代に脚光!宅配以外もスゴい「生協」の事業モデルとは
- 2024-11-06「BLΛNDE」4店目は都内初出店!東京ならではの売場演出、商品で差別化図る
- 2024-11-01セブン&アイ、イオンの24年度上期決算と今後の戦略全まとめ
- 2024-04-16書籍のブームから20年……日本生協連に移籍した「生協の白石さん」の今
- 2024-10-28売上6000億円超のコープデリ連合会、宅配利益率4%も危機感の理由
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-11即席麺市場、秋冬の需要期に向けて各社からこだわりの新商品が続々登場