「ダイソー」創業者・矢野博丈さんが「会社は潰れるもの」と考えて経営にあたった真意
「恐れおののく力」が重要な理由とは
そこから再び矢野さんは、以前の貪欲な矢野さんに戻った。「会社は潰れるもの」という気持ちを新たにして、店舗巡回のたびにケータイ電話で写真を撮り、気付いたことを担当者に写メ(ケータイ電話で撮影した写真をメールで送ること)して苦言を呈するようになった。
「恵まれた者は不幸だ。恵まれているから、そこから先の努力をしなくなる」というのが矢野さんの持論だ。
《人間は、決して強い生き物ではない。丸裸なら「陸」「水」「空」のいずれでも、いろいろな生物に負けてしまう。1対1で格闘すれば、生命がいくつあっても足らない。だから人間は、頭を使い、知恵を絞り、火を利用し、道具、服、家、武器をつくり、決して強くない身体を守った。狩猟をして、農耕をして、定住をして文化をつくった。病気と闘い、原因を追究して、長寿できるようにした。その結果、生命体としては決して強いとはいえない人間が地球の主役になっている》
大創産業(広島県)の矢野さんは、このことを「恐れおののく力」と言っていた。弱いことを知っているから強くなれる、ということだ。
だから矢野さんは、慢心してはいけないと自戒してきたのだ。
その矢野さんが2月12日になくなった。10回ほどの取材を通して、本当にいろいろなことを教えていただいた。ありがとうございます。(合掌)
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは
この連載の一覧はこちら [1799記事]
大創産業(ダイソー)の記事ランキング
- 2024-10-17ダイソー、新宿に大型の複合店を開店!若者を意識した売場づくりとは
- 2024-10-08真逆の戦略で高成長維持するダイソーとセリア!100円ショップ進化のゆくえ
- 2024-10-11100 円特化か100 円にこだわらず新業態開発か?ダイソーVS セリアのゆくえ
- 2022-12-08ダイソー、矢野靖二社長独占インタビュー 1 兆円・1 万店舗体制に向けた経営戦略を語る
- 2022-12-151 年で「ダイソー」を使った人は驚異の96%!消費者調査でわかるリアルな購買実態とは
- 2022-12-12ナチュラル打ち出し、ブランドとのコラボも!100円ショップの概念覆すダイソーの郊外型店とは
- 2013-05-23新型店舗のターゲットは、生活の楽しみ方を知っている女性=大創産業 矢野博丈 社長
- 2020-05-08大創産業、300円ショップ「CouCou」を買収、全国に34店舗
- 2021-12-27ダイソー、間伐材や国産木材を用いた商品を発売、新業態2店舗で
- 2022-12-09広さは30 坪~1660 坪!大創産業が年間150 店の大量出店を続けられるワケ