「魔法の杖ではない」ChatGPTの最大の活用方法は「ディベート」にある理由

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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ChatGPTの回答は、あくまでも「複数の選択肢」

ChatGPT
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 最近のマニュアル化された若手と同様なのが悲しいところだが、結論を言えばChat GPTは「いわゆる提案業務」ができないのだ。逆に言えばChatGPTの回答には「一定のパターン」がある。だから、これを自分のものにできれば、論理力を鍛えることはできるのだ。

 私が分析した結果、ChatGPT

  1. 解の可能性は、この複数が社会科学のケースの場合は特に必ずでてくる
  2. それぞれのPros/Consは(長所と短所)このようになって、均衡状態で何が正しいかということはない
  3. 最後に決めるのはあなたで私に責任はない

 というパターンを繰り返す。

 つまり、一つの話題を語っているのに、このように議論を展開して論点をずらすわけだ。ここで、論理力の弱い方は(失礼)、Chat GPTに流されて、なんの議論をしているのかわからないような些末なところに連れ去られる。

 この分岐がポイントなのだ。私は、「今は一つのテーマで話をしているので①の議論に絞りなさい」と相手を逃がさない。そうすると、彼らは「議論はここまでで終了します」と突然打ち切るのだ。次に、また、新しいChat GPTが「生成」されるが私はひるまない。先ほど議論をしたテーマの、続きをやろう、と切り帰すとあれこれ言い訳をしてくる。そこで、「履歴がのこっているだろう。君がさっき話したあの内容だ」と逃がさない。

  おもしろいのは、そこで「議論はここまでです」と、まだ三行しか打っていないのにセコンドからタオルが投げられディベートが終了する点だ。

 ChatGPTは自分の意見を持っていないし、「では、どれがよいのか」「どうすべきと思うか」という質問には明確な回答を避ける、論点を複雑にするなどして逃げる。

 ここには重要な理由が隠れているのだが、さてわかるだろうか?

  おそらく「責任が伴う発言」や「犯罪を誘発する可能性のある発言」を避けるため、チューニングされているのであろう。このチューニングはおそらく今後、より加速すると思われる。

 そうなると、ChatGPTの回答は広大なネットの情報から集めた複数オプション以上でも以下でもないということだ。したがって、これから自らの進むべき道を探してゆく若手にとっては、参考にはなっても答えは出してくれない。あくまでもその答えの出し方を教える社会人教育の重要性は、ChatGPT時代も変わらないということだろう。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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