ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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宝石のような衣料品の塊、2021年コレクション

私が、ファッションデザインについて、語ることを避けてきたのには理由がある。それは、私自身が感覚的に「かわいい」「格好良い」と名言することにコンサルとして抵抗があったからだ。しかし、そうした沈黙を破らせるほど「、+J 最終章」(私は、今でもなぜあれほど素晴らしいブランドを最終章としてしまうのか分からない*)の単品完成度はデザインも縫製もすばらしい。
*編集部注:各種報道によると、2021秋冬シーズンをもって休止

素材や縫製などは一級品ばかりだ。私は生産現場で実務をしてきたから商品の良し悪しは分かると思っている。+Jは、コスパだけでいえば「高い」といえないほど完成度は高いことも理解している。しかし、おいそれと手が出せないほど高価格となったプレミアムブランドをもっと大事に陳列してもらい世界観をだせば、あの高価格帯もより納得がゆくものだったように思う。ましてや、今回は「最終章」である。

加えて、夏とは異なり欠品らしき商品がないようだ。となると今後、セールで値下げをしてくる可能性もある。

一昔前なら、「セールに出すぐらいなら全商品店頭から引いてしまい一切売るな」といいきることも可能だったが、今は、SDGsの時代だ。ファーストリテイリングも「消費者が必要な商品を必要な量だけ作る」と公言したことは記憶に新しい。であるならば当然、売れ残り商品は、値下げされてゆくだろうと思うからだ。

服好きの私とて、2枚買うのがやっと。それほど+Jは高価だった。実質所得が先進国の中で最も低くなり、お金がなくて大学進学を諦める人もまた増えているという時代に、セーター15000円、カシミヤ一択(Mensの場合)というのは、ユニクロが遠くに行ってしまったように思いさみしく感じるのだ。

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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