2021年度上期決算は増収増益の平和堂 地域密着スーパーが徹底する“真の顧客視点”とは
「三方よし」の精神
過剰にならず、それでいてきめが細かい――。こうした調和のとれた施策を打ち続けられるのは、安さや品揃えといった基本を踏まえつつも、お客目線、現場視点でサービスを考案するからにほかならないだろう。
首都圏偏重、大型店舗優勢の潮目が新型コロナウイルス感染症の拡大により変質し、あらゆる側面できめの細かさやバランスの重要性が見直されるようになった。そうしたなか、創業当初から地域密着と消費者ファーストを徹底している平和堂。その姿勢は小売というよりも「商い」という方がしっくりくるのかもしれない。
同社が中長期ビジョンに掲げた3つのテーマは、「健康」「子育て」「高齢者」。まずは消費者の幸福が最優先といえる内容であり、収益は二の次というスタンスも地域で信頼される大きな要因だ。
その一環で、10月21日からはSIRU+(シルタス)と連携して、健康寿命の延伸を目的とした実証実験を滋賀県内の平和堂全 77 店舗で開始。「HOPカード」の購買データを連携し、食品の買い物傾向から分析した栄養バランスをもとにお客に食材やレシピを提案、バランスのとれた食生活を提案する取り組みだ。また、平和堂守山店と アル・プラザ守山では野菜摂取の充実度を表示できる機器「ベジチェック®」による野菜摂取量無料測定会を10月以降年内いっぱい定期的に開催するなどの取り組みも進めている。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」。コロナ禍で近江商人のビジネス志向が再脚光を浴びた。滋賀県を拠点に成長を続ける平和堂が、環境に左右されることなく、成長曲線をキープし続けている背景に、「三方よし」の精神が色濃くにじむのは気のせいではないだろう。